第98話

『その言葉が聞けてよかったです!いきなり変なこと聞いてすみませんでした!』



『大丈夫ですよ』



大丈夫なんかじゃない。Lucaのことを考えるたびにどうしようもないほどに胸が締め付けられる。



『Shinoさん、お願いがあるんですが、呼びタメにしてもらうことって可能ですか?』



『え!?呼びタメでいいの!?なら私にも呼びタメで!!』



『ありがとう!しのちゃんって呼ぶね!』



『こちらこそ!はなちゃんって呼ぶ!』



彼以外の人に“しのちゃん”って呼ばれるのは少しだけ胸がちくっとした。でも考えてみれば、もう彼との関わりがないのだから関係ないか。



今日でHanaと仲良くなれた気がした。別れ際に彼女は私に対して言葉を残していった。



『あいつが全部悪いと私は思ってる。だけどしのちゃん、あいつのこと諦めないでほしいの。お願い』



それだけ残してHanaは去っていった。



“諦めないで”か、本当に諦めなくていいのかな。また彼の隣に立ちたいって思ってもいいのかな。



もう、よくわかんないや…、

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