第90話
「一ヶ月の間に起こったことは、あの子の心に大きく傷をつけたの」
一生消えることの無い傷。
「監禁、されてたの。一ヶ月ずっと。誰も来ない、声も届かない部屋で独り、手錠を付けられて、足枷を付けられて、逃げ場所なんてなくて、連絡ももちろん取れなくて、諦めようとした時助けられたの。もう少し遅かったらあの子は完全に壊されてた…、」
「衣食はしっかり管理されてたから身体は何ともなかったみたい、でも心は壊されかけてた」
それでも学校に来て、私たちに笑顔を見せてくれて、どれだけ一人で頑張ってたの、私が気づくのがもっと早かったら、ううん、あの子を一人で行かせなかったらあんなことにはなってなかった。
「だからね、鈴。私はあなたにあの子みたいになって欲しくないの。るかくんがそんな人だとは思えないけど、あの子の彼氏もネットでは優しかったの、すごく」
だから私は鈴とLucaのことを不安に思った。いつか鈴が傷つくんじゃないか、あの出来事が起こってしまうんじゃないか、って。
でもすぐに大丈夫って、彼なら鈴を任せられるって思ったんだよ。鈴は知らないと思うけど、私に直接言ってくるくらいにはあなたのこと大事にしてたよ。
だから安心してたのに、彼なら私の大切な彼女を傷つけないって。私も一言言ってやりたいけど、ここは私が出るところじゃないから、彼女の背中を押すことにするわ。
《桃寧side end》
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