第91話

話を聞いて泣いてる私を桃ちゃんは優しく抱きしめてくれた。



こんなことが起これば私のことを心配するのは当たり前だ。もう二度と起こって欲しくないに決まってる。



「桃ちゃん、話してくれてありがとう。辛いことなのにありがとう。私を心配してくれてありがとう。もう大丈夫だよ、るかくんとは終わったから、ちゃんと前を向いて、これからは桃ちゃんに心配かけさせないから」



そう言って笑えば辛そうな顔をされた。



やっぱ分かっちゃうのかな、これが嘘だってこと。私の中ではまだ終わってないって、終わらせることが出来てないって。



確かにまだ終わってないけど、いつかちゃんと終わらせるから、綺麗な思い出にさせてみせるから、だから、もう少し見守ってて欲しいな。



そんな想いを込めて手を差し出せばそれに重ねてくれるから、ぎゅっと握って教室に戻る。



既に授業は始まっていて、先生に2人して怒られたけどそれすら楽しくて。桃ちゃんも私もちゃんと笑えてることが嬉しくて。



このとき何かを決意した桃ちゃんに私は気づかなかった。彼女は彼女で今の私を心配してくれていて、過去と向き合って前に進もうとしていた。

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