第37話

「僕も会いに行ったのに、君はそこにいなかった」



「え?!来てくれたの?」



「行ったよ。病気、治ったんだね。良かった」



「うん、治ったの」



「あの時はごめん。僕が君の体調のことをしっかり覚えていれば、君はあんな辛い思いすることは無かったのに」



「…違うよ。君は悪くない。数日一緒に過ごしたのに私の想いは届いてなかった?」



「…記憶あるの?」



「あるよ、ちゃんと。あの時ね、気づいてたの。今日歌ったらやばいなって」



「ならどうして、」



「楽しかったから。君と歌うのが楽しかったの。だからブレーキが効かなくなっちゃった。ね、あれは君のせいじゃない、私自身のせいなんだよ」

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