第24話

でもそれは僕と彼女の小さな約束だから晴れの日は歌わないと決めている。



でも"歌わない"だけでこっそり曲を作ったりはしていた。彼女には当然秘密で。



雨が降った時の楽しみに取っておきたくて、彼女と一緒に歌いたくて僕はこっそり曲を作っていた。



"雨が降れば彼女と歌を歌える"



"彼女の綺麗な歌声を聴ける"



僕の頭にはそれしかなくて、ただただ彼女と歌いたい一心だった。



だから忘れていたんだ。彼女が天気に体調を崩されやすいってことを。



僕が無理をさせたせいで彼女は倒れた。僕は何も出来ないただの子どもで、ナースコールを押しながら彼女の名前を呼び続けた。



息がしずらくなって瞼を下ろしていく彼女と彼女のそばで泣きながら彼女の名前を呼ぶ僕。



急いで駆けつけた看護師さんに引き剥がされて彼女は緊急手術室に連れていかれた。

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