第19話

「私がまだ小さかった頃、と言っても小学校高学年くらいの時かな、両親が事故で亡くなったの。私はその場に居なかったんだけど飛び出した子どもを助けようとして車に轢かれちゃったみたいで、その子どもは無事だった」



あの事故は誰も悪くないと思ってる。子どもは好奇心旺盛だから仕方ないと思う。両親も体が勝手に動いてしまったんだと思うし、私の両親はそういう人だから。



「両親が亡くなったってことは病院で聞かされた。あの後すぐ子どもの親が来て救急車を呼んでくれたけど間に合わなかった」



律は私の話を真剣に聞いてくれる。始めから重い話をしちゃってるから申し訳ないなと思い曖昧に笑うと手をぎゅっと、力強く握ってくれるからその温度に安心した。



「小学生だったから自力で病院までは行けなかった。だから清水さんにお願いしたの。お父さんとお母さんは出かけてて小学生の私1人留守番させるのが心配だったみたい。よくあったことなの。お父さんの弟の清水さんに私を預けて2人仲良く出かけるってこと」

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