我儘

第12話

いつものように凪を送り出す。今日は月に1回の日だから部屋には俺1人。



今月は泊まって帰ってくると言っていたから帰ってくるのは明日だろう。そう思ってソファで本を読んでいた。



集中してたらドアが開く音がして、目をやるとそこには凪が立っていた。帰ってくるのは明日だと思ってたから少し驚いたけど、いつものように"おかえり"と声をかける。



凪は、俺が"おかえり"と言うといつも笑って"ただいま"と言ってくれる。だけど今日は違った。



泣いてたんだ。ぽろぽろと大きな瞳から綺麗な雫を落としながら。



その場に崩れ落ちそうになる凪を急いで受け止める。声をかけても何も応えてくれない。



「ねぇ、凪…どうしたの、?」



僕の問いに応えないまま、涙を流しながら苦しそうに呟くんだ。

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