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「えっ、嘘、マジで?」
突然来た1本の電話で、俺の意思は簡単に壊れる。
「あ、あぁ、おめでとう」
電話を切った後に心を埋め尽くしたのは、焦りだった。
大学生になって数ヶ月。
まだ十代で、ほんの少し前にその権利を与えられたばかりの俺には、‘結婚’というのは、まだまだ先のことだと思っていた。
「結婚、か…」
自分以外誰もいない部屋に、ポツリと呟いた。
それがやけに響いて聞こえた、気がした。
久しぶりに中学の時の友達から来た電話。
その内容は、
『俺、結婚することになったから』
どうやら、高校の時から付き合ってる彼女との間に子どもが出来たらしく、‘結婚’することにしたとのこと。
身近な人の‘結婚’という話しに、急に‘結婚’が現実味を帯びた。
学生の俺には、まだ先のことに感じていたけれど、美波はもう24、5歳。
そろそろ結婚を考える時期かもしれない。
美波が結婚…。
……
………・・
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