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『大人になったら』と彼女は言ったから、
俺は早く大人になりたくて、
でも、大人って何だろう?って考えて、
わからないけど、とにかく美波に早く近づきたくて、
高校卒業したら就職しようかと、高校に入ったばかりの時は思っていた。
でも、それじゃ近付けない気がした。
美波との差は埋まらない気がした。
だから、頑張って勉強して、大学に行くことにした。
美波と同じ、‘大卒’で、就職しようと。
そして、今度は美波よりも上の大学を志望した。
美波と俺の差は、なくならない。
だから、美波と同じにしてもダメだと思ったんだ。
常に美波を追わなくちゃいけない俺は、一つくらい追い越さなくちゃいけないと思った。
そして、志望校の条件がもう一つ。
ここが一番重要で、どうしても譲れないところ。
それは、‘美波のいる場所であること’。
頑張ったんだよ、俺。
中学の時に負けないくらい、頑張って勉強したんだよ。
なぁ、美波、もうそろそろいいだろ?
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