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美波と会ったのは、地元へ帰る前の一度だけ。
普通にファミレスでご飯を食べて、喋っただけ。
気持ちを伝えてしまいたかったけれど、そこで言ったところで返ってくる言葉は1年前と変わらない気がしたから、頑張って耐えた。
遠くへ行ってしまう美波は、別れ際に『またね』と言った。
『じゃぁね』でも『バイバイ』でもなく、『またね』。
‘また’がいつ来るかもわからないのに、いつも通りふわりと笑ってそう言った。
そしたら、‘また’があるような気がしたんだ。
何の根拠もない。
でも、漠然とそう思った。
だから、‘また’でいいと思ったんだ。
‘また’会った時、今度こそちゃんと気持ちを伝えればいいと。
美波がいない場所で、俺は頑張った。
勉強もそれなりにやってたし、部活をしない代わりにバイトを頑張った。
それなりに、恋もしたし、青春も十分味わったと思う。
美波のいう『高校時代にしかできないこと』は十分できたと思う。
だから、もうそろそろいいだろうか?
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