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そして、むかえた入試。



手応えはまぁまぁ。




「あードキドキするー」



合格発表の日、大学が春休みだという美波は、俺に着いてきた。



「なんで美波がドキドキすんだよ」



自分の合格発表じゃないのに、やけに緊張している美波に、思わず笑ってしまう。



「私、高校も大学も推薦だったから、こうゆーの体験したことないんだよね」



さすが真面目ちゃん。



「そうなんだ」



美波のことが一つ知れて嬉しくなった。

けど、ポーカーフェースを貫く、俺。


縮まらない距離を埋めようと背伸びする。



「ドキドキしないのー?」


「まぁ」


そう返すけど、俺の心臓はありえないほど暴れてる。



受かる自信はそんなにないし、ここでダメだったら、余計美波との差ができる。


それだけは避けたい。


そう思うと、結果を見るのが怖くなる。



がらにもなく緊張している、俺。



だけど、それだけじゃない。



隣に美波がいるから。


触れられる距離に君がいると思うと、俺の心臓は暴れ狂う。

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