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「咲也くん、最近ちゃんと学校来てるらしいね。成績も上がってるって」
土曜補講。最近真面目になってきた俺に、美波はいつものようにふわりと笑って言った。
「まぁね。俺も受験生だし」
それに、ドキッとしながらも、ポーカーフェイスで平生を装って、得意げに言ってみた。
「おー、偉いねー」
「俺はやる時はやる男なんだよ」
「あはは、そうなんだ」
「信じてねーだろ?」
「そんなことないよ」
「じゃぁ、やるとこ見せてやるよ。今度の模試でB判定だす」
「え、B?この前、Dじゃなかった?」
突然の俺の発言に驚きの声を出す、美波。
「そうだけど?」
俺は、それがどうしたとでも言うように、余裕ぶって答えた。
偉そうに言うことではないのだけど。
「そんな急にBなんていくらなんでも…」
「じゃぁさ、今度の模試でB判定でたら、俺のお願い聞いてよ」
困惑する美波に、俺は自信あり気にニッコリと笑ってそう言った。
「え?」
「対価があった方がやる気出るし」
「んー、いいけど、変なお願いはやめてね?高価なものは買えないからね?」
「大丈夫、そんな難しい願いじゃねーから」
「わかった、いいよ」
「よっしゃ!!」
美波の返事に思わず、ガッツポーズする俺。
作戦成功。
成績が上がってきたからといって、B判定取れる自信は正直ないのだけど、やるしかない。
だって、俺が美波に近づくには、努力するしかないんだから。
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