P.35

中学生の俺が出来ることなんて、限られている。


でも、今、俺がしなくちゃいけないことは、きっとこれなのだろう。


それは、当たり前のこと。



だけど、大切で、

なのに、ずっと逃げていたもの。



それは――…



学生の本望であるはずの‘勉強’。



そして、その先にあるのは、高校受験。

そして、合格すること。



今、就職したって、美波には近づけない。



6歳下なら、美波の後を追うしかないんだ。



今の俺には、これしか出来ない。



それが正解かなんてわからないけど、なにかやってみないと。


なにか頑張ってみないと、俺の願いはきっと叶わないから。



とりあえず、頑張ってみようと思うんだ。



入れればどこでもいいと思ってい志望校を変えた。



それから、学校には毎日ちゃんと行くようにした。


遅刻もしない。授業もサボらない。



そんな俺に担任もダチも驚いていた。



よく‘女は恋すると変わる’というけれど、男だって恋すれば変わるんだと、美波を好きになって初めて思った。



なんか乙女チックで気持ち悪いけど、恋のパワーはすごいと、ガラにもなくそう思った。





勉強はまだ苦手だったけれど、俺の学力は確実に上がっていった。



やるとやらないとでは大違いらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る