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なんだか無性にイライラしたんだ。
同じクラスだったら連絡先くらい知っててもおかしくないのはわかってるけど、俺には教えてくれなかった連絡先をアイツは知ってる。
俺は、週に一回しか会えないのに、アイツはほぼ毎日美波に会っているわけで、そんなの当たり前のことに、なんだかムカついた。
しかも、『よっくん』だなんて、親しい呼び方してるし。
それが余計に、なぜか理由はわからないけどムカついた。
「あ、‘よっくん’てね、‘米田与一(ヨネダヨイチ)’って言うんだけどね、一応‘与一’の‘よっくん’なんだって」
「へぇ」
そんなことを無邪気に笑って言う美波に、どうでもいいような返事をする俺。
実際、そんなことは俺にとってはどうでもいい情報だけど、そんな風に返す気はなかったのに、どうもイライラして仕方ない。
いつもはご機嫌な俺だけど、この日はなぜかずっとイライラしていた。
そのイライラはなかなか消えず、次の日もまた次の日もなんだかずっとイライラしていた。
ダチにも何かあったのかと心配されるほど。
何もない。
何もないはずなのに、なぜか無性にイライラしていた。
それと同時に、なぜか思い出すのは美波の無邪気な笑顔で、美波のことを思い出すたび、今度はもやもやが広がった。
なんなんだろう?
なんか無性に会いたくなって、「ここを通ったら美波に会えるかな」なんて、わざわざ遠回りして大学の前を通ったりもした。
本当に、自分が何したいのかわかない。
この時間、美波は何をしているのか、俺の知らない美波を思うともやもやして、
この前みたいに男と話しているところを思うとムカついた。
ずっと考えるのは君のこと
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