なんかムカツク

P.15

結局、美波は番号を教えてくれなかった。


冗談で言ったつもりだったのに、どこかがっかりしている俺。


意味不明。



「あ、美波ちゃん、ちょっといい?」


「あ、よっくん!何?」


休み時間、俺らと話しているところに、美波と同じ大学のやつが美波に声をかけた。



「あのさ、昨日の授業のグループワークのことなんだけどさ、みんな水曜なら大丈夫そうなんだけど、美波ちゃん空いてる?」


「あー、たぶん大丈夫だと思う。スケジュール確認しないとわかんないけど」


「あ、じゃぁあとで連絡して」


「わかった、確認したら連絡するね」


「うん。おしゃべりしてるところごめんね」



そう言って‘よっくん’は爽やかに笑った。


それに反して、俺は自然に眉間に皺が寄る。



「ううん、いつもありがとう。さすが、よっくんだね」



そんなことは知らない美波は、‘よっくん’に向かってふわりと笑った。


チッ



「んじゃ、あとでよろしくね」と言って‘よっくん’は離れて行った。



「なぁ、アイツ誰?」


無意識のうちに声が低くなっていた事に、言ってから気がつく。


なんだかイライラしていた。



「え?アイツって…よっくんのこと?私と同じ大学のボランティアだよ?」


そんな俺に気づかず、首をかしげて見た。



「仲、いいの?」


「んー、仲いい方かな?同じクラスだし」


「ふ~ん」


美波の返事に、自分で聞いておきながらそっけなく返した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る