P.14

「朝苦手なんだよ」


そうぶっきらぼうに言う俺に、


「冬は特に起きるの辛いしね。でも、遅刻はダメだよ」


と、美波はふふっと笑いながらそう言った。



クスクスと上品に笑う姿に、なんだかちょっと悔しくなって、


「だったら…美波ちゃんがモーニングコールしてよ。そうしたら遅刻しない」


と、俺も負けじとニコッと笑顔を作って言った。



「何言ってんの!そんなの無理に決まってるでしょ?!」


「なんでいーじゃん」


「大体、番号知らないもん。無理無理」


「あ、そっか。じゃぁ、連絡先交換しよ」



そうさらりと言って、ポケットから携帯電話を取り出す。


けれど、


「そうゆーことすると、沼田先生に怒られちゃうから。無理無理」


美波にさらりと断られた。



「大丈夫だって、あんなやつ」


「担任に向かって『あんなやつ』とか言わないの!てか、学校にケータイ持ってきちゃダメじゃないの?」


「え?そうだっけ?」


とぼけたようにダチにそう聞けば、


「さぁ?」

「そんなのあったっけ?」


ダチもとぼけたように口々にそう言った。



「え?違うの?私が中学生の時は禁止だったんだけどな…?ジェネレーションギャップ?」


それに美波は不思議そうに首をかしげた。



「何それ?美波ちゃんと俺らそんなに変わらないじゃん」


「そうそう、美波ちゃん18歳だもんね?」


「ちげーよ16歳だろ?あれ、14だっけ?」


「21です!!立派な大人ですー!!」



ムキになって言う美波をからかう俺ら。



中学生と張り合う君に、‘ジェネレーションギャップ’だなんて、これっぽちも感じなかった。

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