第四話

「はーい、来ました」

「うわっ!」

 びっくりした!!

「うわとは何ですか、うわとは」

 と言われ頬をつねられる。あんまり痛くない。

 音もなく背後に現れて耳元で話されたら誰でも驚くよっ!

「まぁいいわ、それで何について聞きたいのかしら」

 つねらから解放され、聞かれる

「自分の能力について見たいんですけど...」

「それはね、えっとー『ステータス』って声を出すか、念じたら見えるわよ」

「分かりました。ステータス」

 半透明の縦に長い長方形の板のような物が出でくる。

 内容はこんな感じだ

 名 ユキ

 種族ーー

 魔力ーー

 ユニークスキル ーー

 スキル なし

 称号 ーー

 見た感じとても簡素だ。でも一つ謎がある。

「名前とスキル以外は横線なんですが理由を聞いてもいいですか」

 そうスキルだ、見た感じスキルも横線じゃないのが謎だ。

「オーケー、わかったわ。それじゃ説明するわね。まずあなたは名前があるわね、だって私がつけたからね」

「はい」

「次はスキルがなしの理由を説明するわ。簡単に言えば取得できるからよ」

「なるほど?」

「わかってなさそうね、なら詳しく説明するわ。まず、スキルと魂は密接な関係があり、それ以外は肉体に密接な関係があるからよ。そしてあなたの肉体は仮初のものだからよ」

「なるほど、私の肉体が仮初だからなんですね。えっ仮初!?」

「安心して、仮初の肉体はいつか魂に定着するから」

「それはよかったです?最後に仮初の肉体でもスキルを身に付けることはてきますか」

「当たり前よー。それじゃーバイバーイ」

 と言いながら消えていく。

 完全に女神様が消えたところで本に目を落とす。

 ペラペラめくりながら目的のスキルを探す。

「記憶系のスキルがあるかなー」

 ーーー

 女神様と会ってから三日くらい経ったかな。お腹が減らず、眠くもならないからぶっ続けで読んでやっと、記憶系のスキルを見つけた。スキル名は『記憶術』で取得方法は大量の知識見ることらしい。そして、レベルアップは知識を覚えたらいいらしい。

 剣術よりも具体的で分かりやすくていいな。

 最後に進化後のスキルは完全記憶と書かれていた。

 進化させるには一回見ただけで覚えるくらい極める必要があるのか。時間がかかるな、でも二、三回見たら覚えられるようになれるぐらいは頑張るか。

 一応、メリット、デメリットも確認しておいた。メリットは記憶が良くなるというもので、デメリットは記憶を忘れづらくなってしまうと書いてあった。まぁ、想定内だった。

 スキルが取得出来ているか一旦、ステータスを確認しておくか。

 名 ユキ

 種族ーー

 MP ーー

 ユニークスキル ーー

 スキル 神代言語Lv.5 記憶術Lv.3

 称号 ーー

 ってな感じになっていた。途中から五十音表を見ずに本をめくっていた成果が早速出ているな。

 コツコツ、記憶術のスキルでも上げて行こうかな。まぁ、とりあえず最初からしっかり読み直しますか。と思いながら、記憶術が載っていた本を閉じ、最初の本を取りに行く。

 ここから読書の日々が続く...

 ーーーーー

 まず、最初三ヶ月間はスキルについての本をじっくり見て、取得したいスキルは内容を完全に理解するまで読んだりもした。そしたら七十冊以降はユニークスキルについてだったことに気づいた。そういえば、女神様は三回は見にきていた。

 ーーーー

 四ヶ月から六ヶ月は難解だったユニークスキルを一つ一つ確認した。この時から記憶が残りやすくなった気がする。感覚を例えると、記憶を保管するタンスがあって、そのタンスの引き出しが完全に閉まったり、中身が溢れてしまったら忘れてしまうと考えると、まず、タンスの数自体が増えたような感覚がするし、引き出しの容量が大きくなった気がする。そのうえ、引き出しが前まではとても閉まりやすかったのに前に比べて閉まりづらくなった気もする。

 つまり、知識がたくさん詰め込めるようになって忘れづらくなったってことだ。もっと覚えられるってことだ。やったね。そして、女神様は二回見にきていた。

 ーーーーー

 およそスキルの本を読み始めてから七ヶ月後、私は女神様に正座させられていた。

「あなたって私の弟子よね」

「はい」

「鍛えて欲しいって言ったわよね」

「はい」

「でもね、私ね初日にしか教えてないのよね」

「はい」

「呼びずらいのかなって思ってあなたの視界に入る位置で待ったりしたのよ」

「はい」

「でもね、あなたは何回私がいることに気づいたの?」

「五回で「二十回よ」

「..えっ」

「私があなたの視界の中にいたのは二十回よ。わかるかしら、あなたが本を読んでるときに首を捻っていたから呼ばれると思って、教える準備をしてたのに半年も待たされたのが‼︎」

「まことに申し訳ありませんでしたっーー!!」

 正座の体制から五体投地をするように身を投げ出す。

 正直に言ってとっても怖い。空間が歪んでいるように見えるくらいには怖い。

「わかってくれたのならいいのよ。だからね、

 じっくり、教えてあげるわー」

 マズイと思った頃には、図書館から最初に女神様と会った白い空間にいた。

 おそらく私は女神様のあの笑みを忘れることはできないだろう。

 ⭐︎ーーーーー

 イエスマン主人公










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