十一.独白

「つらい。」

月曜日の午前、学校で。一日挟んだ後も、土曜日の興奮冷めやらずに過ごしていた。結局白サンダルは買えた。テンションがバグったカズに振り回され、死に体になりながらも、もう夕方になるというころに見つけた。爪先が見え、踵がちょっと高くなっている、お洒落なやつ。基調は白で、部分的にコルクみたいな材質はあるが、そこもオツだ。ほぼ俺のイメージ通り。そこそこ良い値段だった、確か二万円。ただカズは値段なんてお構いなし、即決カード払い。サンダルもそのまま履いていったが、歩き辛いらしい。五分ほどで、

「足が痛いよぉ。」

とゴネていた。しゃーなし、お洒落は我慢というだろう。ヨチヨチ歩きへと変貌したカズに肩を貸し、帰路についた。肩に汗が染みてないか、道中気が気でなかったが。そんなわけで帽子、ワンピース、サンダルのセットが揃ったが、その日以来カズがそれらを身につける様子は無い。結局は小屋に籠もって仕事三昧だから。正直勿体無い。目を閉じれば、あの姿が浮かんでくる。帽子を抑えながら俺の手を引くカズ。あの時は色々テンパってて気にしてなかったが、シチュエーション凄かったな。今更照れに襲われる。ふしゅう。また見たいな。どこかに、誘えば良いのかな。そんなことばかり考えているから、授業に集中できなかった。

あれよあれよというまに放課後。最近成績が不調だ。模試とかは問題無いのだが、小テスト辺りで取りこぼしが多い。バイトもあって、日々の予習復習が間に合ってないのだ。仕方ないといえば仕方ないか、少し気になる。今度から三十分くらい早く帰るかな。身支度を整え、いつもの校門前に向かおうとした。その途中、廊下で、

「たちばな、橘君。」

「ん?おぉ。」

急に呼び止められた。声の発生源に目を向けると、先生でもカズでもない。見たこともない女子が二人、目の前にいた。片方はショートカット、もう片方はセミロング。な、何だ何だ?カズで女子慣れしてきたとはいえ、いきなり来られるとやはり、緊張するなぁ。

「何か?」

「あの、聞きたいことがあるんだけど…」

セミロングがそう言う。聞きたい、こと?この俺に?何?あ、まさか、いやまさかそんな、ありうる?ありうる、のか。放課後だし、雰囲気も悪くない。いやでもそんなこと言われても、俺もちょっと困るっていうか、他に考えてる人がいるっていうかぁ、

「辻村さんと仲、良いよね?付き合ってるの?」

思わぬ角度からの質問。でも、そうか。気になるか。いや気になるか?他人の恋愛事情なんて、知ってどうする?何もできないだろうが。女子って、そういう性があるものなのかね。

「いや、付き合っては、ない。友達だな。」

事実を述べてやる。平日は毎日自宅に通い、休日に手を繋いで買い物に行ったりしているが、恋愛関係を締結したことはない。

「あ、そうなんだ?そうなんだ…。」

セミロングはショートカットとこそこそ話す。

「そうみたいよ?」

「あれだけ仲良さそうなのに?」

「ねぇ、そうだよねぇ。」

知らんて。付き合ってないものは付き合ってない。ふんす。

「じゃあ、何で一緒に帰ったりするようになったの?聞いて良い?」

もう聞いてんじゃねぇか。はぁ、面倒だな。

びくっ

露骨に顔に出てしまったのか、彼女らが後退りする。取って喰う訳でもないのに。一緒に帰る理由ねぇ、理由…

「別に、趣味が合ったから、その趣味の話をするようになっただけだ。」

こんなもんで良いだろう。無難だ。二人はまたヒソヒソと、

「趣味?」

「趣味って、あれ、小説の…」

「うん、多分。」

ん?反応が変だ。何かあったか?

「どうした?」

尋ねると、二人は顔と手をぶんぶん振って、

「いやいや、何でもないよ?!」

「うん、何でもない!呼び止めちゃってごめんね、もう大丈夫だから!ありがとう!」

そう告げるとそそくさと廊下の先に消えていった。何だったんだ全く。気を取り直して、校門に向かう。何かまずいこと言ったか?いや、普通だったはずだ。趣味が合うってだけで。それで、小説、って言ったか?それが何だって、

ふと、思い至った。足を止める。口元に手をやる。もう一度考え直す。頭がクラクラする。足に力が入らない。まさか、まさか、なぁ、カズ、

「お前、クラスで、官能小説読んでんの、バレてんじゃ、ねぇかあああぁぁぁ?!んぬぅぁぁぁあにぃが、『TPOはわきまえている。』だ、ふざけんじゃあねぇ!俺、俺も、官能小説読んでることに、されちまったじゃねぇ、かああああああ!」

内心、爆裂に叫んだ。最悪だ。カズが無神経なせいで、無難な選択が最悪の一手に置き換わっていた。


「あぁ、そうだねぇ。一部の人には、バレていたかもしれない。」

道中カズを問いただすと、あっさり白状した。というか、微塵も悪びれる様子が無い。俺がどんな被害を被ったかも知らずに。

「隠れて読んでたんじゃねぇのか。」

「最初の方は教室で読んでいた時もあったのさ。それで何を読んでいるか聞かれることがたびたびあって、その度に皆気まずそうにするから、これは場所を変えた方が良いかも、と思ったのさ。」

「そうかよ。」

最初から場所変えてくれ、とも思うが、カズにそこまで期待する方が悪い。官能小説のことを忘れていた俺の落ち度ということにしよう。はぁ。

「そんなことを彼女達に聞かれたのかい?」

「んあ?」

「さっき、話してたから。」

廊下の件か。確かにそうだが、

「見てたのか?」

「見るつもりは無かったけれど、廊下にいたからね。目についた。」

そう言うカズの目線は、俺と合っていない、珍しいな。普段なら無理に合わせに来るくらいなのに。

「まぁ、そんな感じのことだな。」

「何て答えた?」

何だ、食い気味だな。

「別に、友達だって答えた。」

「そうかい、友達、ね。そうか。」

そう言って黙ってしまった。依然として目を合わせようとはしない。何か変だ。生理か?

「何だ、体調でも悪いのか。」

「そんなことはない。」

否定された。不機嫌じゃね?おいおい、何なんだよ。

「優秀なのか鈍いのか分からないね。」

「ん?何て?」

小声で何か言ったみたい、聞こえなかった。パードゥンを求める。

「何でも、ない。」

俺を置き去りにするかのようにずんずん歩いていく。複雑怪奇、何なんだよ。追いかけるようにしてついていった。


「それはお前が悪い。」

「へぇ?」

日付も時間も場所も変わって、とある平日の夜十時過ぎ。定例となったアキラさんとの通話中に、この間の出来事を洗いざらい話してやった。その後の不機嫌な態度のことも。

「俺、ですか。」

「そりゃそうだろ。せっかく良いのを買ってやったのに、それを着る機会もねえんだからよ。」

「それは、俺だけのせいでは、」

「お前だよ。」

ぐう、有無を言わせない。ドスの効いた声で俺を差し止める。

「土曜の買い物も和沙から誘ったっていうじゃねぇか。なおさら男のお前が誘うべきだったよ。だったらせめて、お前が遊びのきっかけを作らんで、どうするんだ。」

「は、はぁ。分かりました。何か誘います。」

「おぅ、そうしろ。」

全く協力的なのかどうか分からん物言いをするな、この人。

「あと、その女子二人?に話しかけられた時もなぁ、付き合ってる、くらい言わんかい。漢だろぉが。」

「でも、まだ告白も何もありませんよ。」

「ばぁっかお前、そういうのは外堀が埋まってからでも良いんだよ。流れと勢いを止めんじゃねぇよ。」

無茶苦茶だろ。本当にそんなんで上手くいくのか?世の中皆、そうやって恋人作ってんのか?

「和沙が不機嫌なのも分かるわ。せっかくセンスは褒められたものなのに、そこんとこ悪いよなぁ。」

「すみません。」

遊びに誘えば良いんだろ?分かった分かった、やってやるよ!投げやりになってきた。今すぐメッセージ送ってやろうか?

「あと、仕事の話に戻るが、」

急に真剣なトーンになった。こちらも姿勢を正す。

「何でしょう。」

「不機嫌だから何だか知らんが、最近和沙の進捗がよろしくない。お前も分かってるな?」

そういや、帽子を渡す前くらいから、カズがうんうん唸ってるなぁ、とは思ってた。難しい顔をしてダイヤをしっちゃかめっちゃか取り替えている光景は珍しくない。それに依頼表にも、納品済になってない依頼が溜まっていた。カズのペースもあると思って、何も言わなかったが。

「そろそろいくつかの納期が怪しい。それに、そろそろ大口の依頼がまとまる。ドカンと注文が入るんだ。だから、和沙のケツを叩いてやってくれ、間に合わんぞ。」

言い方下品だって。だが、そうだな、カズの仕事効率を上げてやる、そのサポートができたらな。

「まぁ、はい、言っておきます。」

「頼むぞ、そのためにも遊びに誘え。仕事が終わったらな。」

「あ、そういうことですか。仕事のモチベーションのために?」

「そうだ。」

分かりました、と言って電話を切る。んん、あれも女子、か。難しいな。遊びに行く、か。どこにしよう。スマホで近くの遊び場を探す。無い。分かってた。やっぱ遊び場と言えばかのショッピングモールしかない。後はだだっ広い河原の公園か何も無い海辺しかない。それ以上を求めるなら、片道一時間以上かけて電車で遠出するしかない。そこまで行けばレジャー施設はぽつぽつある。どこが良いのかな。金かかりそうだな。似たりよったりに見えてしまう。分かんないなぁ。休憩しよ。スマホをベッドに放り投げ、自分の身体も放り出す。天井を見つめる。白い。見つめながら振り返る。最近の自分の行動を。初めての異性へのプレゼント選び、ショッピングモールでデート。悩んだし、慌てたし、忙しかったが、充実していた。俺なりにやり切った。これらの経験は、きっと俺の内面そのものを成長させたに違いない。今回も、自分なりにやれば、きっとなんとかなるだろう。

内省もほどほどにして、顔でも洗いに一階の洗面所に行く。その際、台所を横切るのだが、冷蔵庫に派手なチラシが貼ってあるのに気付き、なんとなく、本当に何気無く、見てみた。

『豊穣納涼祭』

ごちゃ混ぜになっている野暮な名前、そのでかでかとしたロゴの下には、開催日時が書いてある。懐かしいな、こんなのもあった。田舎だから、何かにつけて五穀豊穣を祈りがち。これは処暑も終わる頃に家の近所で開かれる祭りで、寂れた町にしてはそこそこ大きな規模だ。土日に重なって、三日間も開いている。駅前の大通りを全て歩行者天国とし、出店が並ぶ。一応豊穣を祈る形で、野菜を模した展示やカカシが並べられたりする。後駅前広場で盆踊りもやる。小学生にとっては一大イベント、中学生にとっては彼氏彼女と遊ぶ機会、高校生にとっては冷やかしだ。毎年この時期になると喧しくて仕方無かった。

洗面所に入って顔を洗う。

ばしゃあ、ばしゃあ

顔を叩くようにして拭く。眉間に皺が寄る。

「待てよ…アリ、か?」

もう一度チラシを見る。いや、見ても大したことは書いてないが。良く良く考えてみれば、カズはあの格好なのだ。身体を動かすようなアクティビティは楽しめない。それよりももっと、雰囲気を楽しめる場所の方が良いはず。開催は次の次の土曜日から三日間。時宜的に、アリ、では?最近行ってないから分からんが、出店を眺めるだけでもそこそこ楽しめそうだし、どうしても飽きてしまったら、家に来る、という選択肢もある。いやまさか、不埒な思惑があるわけじゃあない。いやゼロじゃないけど、そんな目的じゃない。俺の部屋には漫画もゲームもある。暇潰しにはもってこいだし、それに親の趣味で、いくつもの紅茶やコーヒーが常備されてる。休憩にも良いだろう。あ、休憩って、そっちじゃねぇからな。とにかく、アリだ。俺の地元を知ってもらうという名目も考えられる。金もかからんしな。

自分の部屋に戻る。今からメッセージを送っても見てくれないだろうな。明日、直接言う形で反応を伺おう。嫌かも、しれんしな。電気を消して、ベッドに横たわる。

「楽しいんだろうなぁ?豊穣、納涼?祭り…。」

一抹の心配を他所に、眠気は来る。抗わず、受け入れることにした。


「行こう。」

早えって、何の文脈も無いだろうが。翌日、カズを祭りに誘ってみた。結果は二つ返事。まだどんな祭りで、開催がいつか、とか何にも言ってないんだが。どうどう。落ち着けって。開催日時と場所を教えてやった。

「そう言えばそんなのもあった気がする。イッセーの家の近くだったか。」

「そうだ。気分転換がてらに行かないか。」

「うん、行こう。」

随分スムーズだな、気味が悪い。でも悪い気はしない。俺も浮足立ちそうになるが、いけない、アキラさんの伝言を伝えなければ。

「それでな、」

「うん?何だい?」

やけにニコニコした顔を見せてくる。何だ、そんな大したもんじゃないぞ、あの祭り。寂れた町の空元気に過ぎん。

「いや、仕事の話だがな、」

すん

カズの顔から急に笑顔と彩りが消えた。分かり易っ、お前もじゃん。

「納品できてないのが溜まってるだろ?そろそろ大きな依頼もあるから、早く片付けろって、アキラさんが。」

「あぁ、それね。」

はぁぁぁー

野太い溜息がカズから漏れる。似つかわしくもない。魔法使いでも、納期はどうにもならんか。

「やってはいるんだけど、大変なんだよ。上手く文章に出来なくて。和訳したから、知ってるだろう?」

「あれだろ、犯罪スレスレのロリコンのやつ。」

言葉にするのも憚られるが、中国からの依頼で、十歳に満たない男女をあれこれする、というのがあった。嗜虐趣味もあるようで、和訳していて大変気分が悪かった。夢と現実とを混同しないよう祈るばかりだ。

「そう、その他もなかなか刺激的な内容だからねぇ、適切に魔法の文字で綴るには、慎重にならざるをえないんだ。適当に彫ってしまって、夢に現れませんでした、というわけにもいかないから。」

そう考えるときついな。多種多様な性癖を理解して文章にまとめるとは。俺は依頼文を直接的に和訳してるだけで、実際の文章を考えるところはカズに任せ切りだ。

「何か手伝えること、無いか。」

「ん?もう大分手伝ってくれているだろう?」

「そうじゃなくて、文字彫るところの何か、だ。」

もっと力になってやりたい。金をもらってるから、というのもあるが、一番忙しくなるところで、俺が何もしてやらないのは、嫌だ。頑張っているという実感のもとで働きたいから。

「やる気があるのは結構だけれど、そうは言ってもねぇ…」

カズがうんうん、唸る。あぁ、迷惑だったか?やはりいきなりやりたいなんて言い出したところで、かえって手間を増やすだけか?くそぅ。なんだか悔しくなって、下唇を噛む。

「じゃあ、仕上げのコーティングをやってもらおうかな。」

んあ?

「え?良いのか?」

「?良いも何も、自分がやりたい、って言うんだろう?」

「あ、あぁ、手伝えるもんなら手伝いたい。」

「なら良い。やってもらおうじゃないか。」

「本当に良いのか?忙しくなるんだろ?俺にスコープの使い方なんて、教える暇無いんじゃないのか?」

迷惑だったら言ってくれて良い。そう思ってカズの顔を見ると、キョトン顔。何でや。

「あぁ、大丈夫。スコープは使わないよ。」

あ、そうなんだ。ほっとしつつ、そこそこがっかりする。まぁ当然か、その辺は弁えてるのね。もやる思いを抱きつつ、カズ机に寄る。

「私が彫り終わったダイヤのコーティングをお願いしよう。時間もかからない、すぐ終わるから。」

「コーティング、とは?」

「これも難しくはないよ。彫り終わったダイヤの表面が削れないように、薬品をちょちょいと塗るのさ。」

そう言って、ケースと、小さなハケ、絵の具の筆みたいなのと、前にデカ棚で見つけた小瓶を手に取ってくる。黄色っぽい液体が入ってたやつ。俺が棚の端に押し込んだやつだ。

「それ、使うのか。」

「うん、これでコーティングする。樹脂を使った何らかの薬品みたいなもの。随分端に入れてたねぇ、探したよ。」

わ、悪かったな。でも片付けの時に言わなかったお前も、悪いんだぞぉ?

「これを僅かにハケにつける、湿らせるくらいに。」

小瓶の蓋を開け、ハケの先に向かって僅かに傾ける。液体が、かかったかな?かかってないかな?くらいで、さっと小瓶から離す。

「もう良いのか?」

「うん、十分だ。それで、毛先を整えてから、ダイヤに、こう。」

ハケを滑らせてケースの上へ。一つのダイヤをケースの枠にはめ、文字が彫ってある平面に、

そっ

ハケをそっと乗せて、少し振ったかと思いきや、離す。

「こんな感じ、表面に液がちょっと乗るくらい、湿らせるくらいで十分だよ。」

「そうか、細かいんだな、ここも。」

「いいや?結構適当で良い、塗ってあればそれで良いよ。」

ここは適当で良いのかよ。分からんよ俺には。

「やってごらん。」

ハケが俺の目の前に差し出される。

「う、ん。」

ちょっと緊張した手付きで受け取る。小瓶、小瓶はどこだ。しどろもどろ瓶を探す。

「まだ付け足さなくて良いよ、そのまま塗れば良い。」

「先に言ってくれ。」

恥ずかしいじゃねぇか、ぷぅ。不貞腐れつつ、ケースを引き寄せる。どれだ、どれを塗れば良い。

「ここにあるのはどれでも良いよ、枠に入れて。」

「先に言ってくれ。」

恥ずかしいじゃねぇか、ぷぅ。不貞腐れつつ、適当なダイヤを一つ摘んで、枠にはめる。最初はダイヤを見るだけで緊張したのに、今じゃ慣れちまったな。鈍い輝きも見飽きたよ。

「これで、ちょんと、すれば良いのか。」

「そう、そう。」

カズが、俺の肩に、ぽん、と手を置いてきた。お、おう。さぁ、気を取り直して、

ぐっ

?肩に重い触感が?手を置かれた肩の方に振り返ると、

ふわさっ

刹那、顔を凄い力で正面に戻した。首筋が痛い。なぜ戻したか。髪が顔にかかったから。カズの。こいつは、こいつが、肩に置いた手の上に、顎を、乗っけやがった。乗っけ、やがったあああぁぁぁあああ?!あっぶねぇぇぇええええ!俺がもっと振り返ったらどうしたんだ、どうしたんだよぉ!おでこじゃない、他のとこがぶつかったのかも、しれんのだぞぉぉぉぁぁぁあ?!

「気にしないでくれたまえ、ほら、早く。」

何甘えてんだこんちくしょうが、悪い気はしねぇから黙っとくけどな!違う緊張が全身を駆け巡る中、なんとかハケを動かす。腕の震えが止まらない。プルプルし過ぎて、塗れてる感じがしない。

「おーい、きちんと塗れてないじゃないかぁ、しっかりしておくれよ。」

俺の肩の上でパクパク口を動かしやがる。

「誰のせいだと、」

思ってやがらぁ?!くそ、やってやる。反対の手で腕を抑え、なんとかダイヤの表面を撫でる。

「これで、良いだろ…?」

振り返るのがあまりにも危険なので、首を固めたまま問いかける。

「うーん、そうだねぇ。塗り過ぎかもだけれど、こんなもので大丈夫だよ。」

ぱっ、と手と顔が離れてゆく。あぁ、勿体無い、じゃねぇ、せいせいした。やっと軽くなったぜ。わざとらしく肩を回してみせる。

「それで、塗ったら三十分くらい置いておいて、枠から外して、こっちのケースに入れる。」

何で何事も無かったようにできるの?ねぇ?説明責任を果たせ?

「良いかい?」

「分かった、よ。」

さっきは集中できなかった。他はもっと綺麗に塗れるだろうよ。

「じゃあこんな感じで、そのケースに入ってるやつは、全部塗ってくれるかな。ハケは、二、三個塗ったらまた湿らす感じで。」

「はいはい。」

「あ、瓶の蓋は毎回閉めてね。ダメになっちゃうから。」

そう言うと、カズは机に向かい、いつも通りスコープを覗き出した。とりあえず、大したことではなさそうだけど、新たに手伝えることができたのは良かった。従来の仕事の合間に、ちまちまと塗っていく。カズの生産ペースを考えても、これは急がなくて良さそうだ。やっぱりさっきよりもきちんと塗れる。何だったんだ、さっきのは。結局説明してくれないし。まぁ、カズなりの愛情表現なんだろう。不器用だなぁ、お前。俺が言えることじゃないけどさ。良い関係が築けてるみたいで、嬉しいは嬉しいよ。

従来、タイピング音とクリック音ばかり響くこの空間に、互いに黙って、ダイヤと向き合う時間が加わった。


俺が仕上げを手伝うようになってから、カズの負担は減った…のか分からない。本人曰く、

「大助かりだよ。」

らしいが、実感が無い。ちょっとハケで撫でて、しばらく放っておいて、乾いたら別のケースに入れるだけ。舐めてんのか?いや、俺にできることはこのくらいしかないのは分かってる、分かってるが、虚しい。やがて、大口という依頼が来やがった。中国語で、まぁ依頼文が長いこと長いこと。PDFで別に添付されて来る最大級のレベル。和訳だけで結構時間がかかりそうだ。

「来てるな、デカいの。」

「来てるね、デカいよ。」

はぁ

はぁぁぁー

二人してデッカい溜息をつく。カズの方がちょっと長い。

「なるべく急ぎで和訳する。」

「あぁ、お願い。」

カズは前の依頼がまだ終わってないようで、休み休みしながら彫っている。間違い無く、今までで一番忙しい。俺も帰る時間が少し後ろ倒しになるほど。


「限界、だ。」

大口の和訳は到底一日で終わりそうになかった。まだ四割ほどで、帰る時間になった。内容もヤバかったし。またロリの凌辱系だよ。しんどいんだって。金持ちの行き着くところは皆ここなの?俺の十倍性格が悪い。それに納期もヤバかった。三週間も無い、祭りの直後。輸送のこと考えたらもっと前か?普通の依頼で一ヶ月って、楽だったんだなぁ。

「なんとか明日、遅くとも明後日には終わらせるから。」

対岸のカズに声掛けしつつ、帰り支度をする。

「ん、あぁ、大丈夫。まだまだそれ、やれそうにないから。ゆっくりやると良い。」

ふぁぁ

カズが欠伸をしながら背伸びする。あられもねぇな。この忙しさはいつまで続くんだろう。祭りは大丈夫?あと二週間ちょっとあるけど、間に合う?

「祭り行く暇、あるのか?」

「ある、と思うよ。それまでに、それも片付けてしまえば、だけど。」

ちょっとバツが悪そうに、口を窄めてそう言う。ううん、やっぱりか。なんとか終わらせて、一緒に行きたい。行けなかったら、一生後悔しそうだから。

「明日、頑張るわ。お休みな。」

「ほどほどにね、お休み。」

お前がな、とぼやきながら、小屋を出る。せめて俺が足を引っ張るわけには、いかんからな。スマホを操作する。翻訳サイトにこっちでもログインしておいた。これで家でも学校でも作業が出来る。まぁ、サービス残業なんてするつもりは無いし、ちょっとだけ、な。


その日の夜、家に帰ってから十五分、通学中の電車内で五分、学校の暇な授業の時に、計十五分、作業を進めた。大した量ではないが、ほぼ半分まで進んだ。これならちょっと遅くまで残れば、今日中にいける。覚悟を決めた。

放課後、小屋に着くなりパソコンを立ち上げ、急ぎ和訳にとりかかる。気持ち巻きで。カズのことを気に掛ける余裕も無く、自分の勉学のポテンシャルを十全に発揮して進めていく。その勢いは内容に対する嫌悪感を置き去りにした。今日のタイピング音はいっそう高く硬く響いた。

「でき、たぁ、ぞ。やっ、たぁ。」

最後の一文まで和訳が完了した、とうとう。時間は、いつもの帰る時間を三十分ほど過ぎたところ。十分だ、良くやった。後は全体の訳をざっと見直して、一覧表に載せるだけ、ウィニングランというやつだ。ここでようやく、カズを気に掛けて、目線を送る。す、凄い。小屋に来たばかりの時と、何も変わってない。一時停止ものとも思えそう。肩凝りそうだな、そうなると。揉んでやろうかな?バキボキに。くだらんことを考えているうちに、一覧表の更新も終わった。俺のピークは、乗り越えた。乗り越えてしまった。

「カズ、終わった、和訳。」

俺が終わったということは、それ以上にカズが忙しくなるということ。達成感もありつつ、何だか申し訳無さも感じる。

「あぁ、うぅん、はっ…うん、ありがとう。」

随分と虚ろな返事だ。ようやくスコープから離れた目も、いつもの輝きが無く濁っている。瞼も重そうだ。

「大丈夫かよ。」

自然と気遣いの言葉が出る。俺凄い。

「まぁ、大丈夫だよ。何とかなるさ。」

明らかに元気が無い。だが悲しいかな、俺にはどうしようもない。カズが無事に乗り越えてくれるのを祈るばかりだ。

さて、帰るか。無駄に居ても無駄だし、余計に気を遣わせるかもしれない。退勤を打刻して、帰路につく。

「じゃあな。」

「あぁ。」

消え入りそうな返事を背に受け、小屋を立ち去る。歩きながら考える。俺はこれで良いのか?出来るだけのことはやってるが、客観視すると、薄情だったりしないか?でも、これ以上、何が出来るというのだ。自分から立候補してダイヤの仕上げも担当した。ちゃんとしてるだろう。でも、脳内のアキラさんが告げる。

「本当にお前は、乙女心というやつが分からんな。将来苦労するわ、全く。」

うるせぇって。たまらず早足になる。駅前に着いた。ふと、目が引き寄せられる。コンビニが、ある。湿っぽい空気の中で燦々とした灯りを放ち、虫共を引き寄せている。立ち止まってしまった。だから何?また歩き出す。止まる。何だよ。もっかい歩く。やっぱり止まる。振り切れない。コンビニの光が煩い。やるのか?今、ここで?おかしいと思われないか?元々おかしいだろ。うるせぇな。帰りたい、帰りたいが、もやもやする。帰って良いのか?この思いの丈のままに、行動したらどうだ?喧しい葛藤に、うんざりする。頭を、爪を立てて掻き毟る。痛い、髪が抜けた。そんなことは問題じゃない。

「あぁ、あぁぁぁ、あぁ…もう!」

右足で勢い良く地面を蹴り、鋭い姿勢で駆けて行き、入店した。


ウィン

退店。買ったものは鞄に詰めた。触ると、布地の上から冷たさが伝わる。ここまで来たら、さっさとしなくては。スマホを取り出し、親へのメッセージに、

『一時間帰りが遅れます。』

と送信しておく。アリバイオッケィ。そして、大股早足で、帰路を遡った。

コンコン

一応ノックしてから、三時間以上振りに外側からドアを開く。鍵はかかっていない。カズが座ってる。こちらには目もくれず、スコープを覗いたまま。気づいてないみたい、俺が入ってきたことに。こうなったら、できるだけ足音を消して近づく。鞄をどこにもぶつけないように、そろりそろりと。やがて、拳一個分、カズの旋毛が見えるところまで接近した。不用心にも程がある。せめて鍵はかけろ?

ふぅ

息を整える。口が乾いて貼り付いてる。舌舐めずりして引っ剥がしてから、ゆっくり声を発する。

「カ、カズ。」

しーん

小屋の隅に消えた。彼女は俺の手元で固まったまま。集中力が凄いのか何なのか。今は都合が悪いがな。今度は肩に触れつつ、声を出す。

そっ

「カズ。」

びっっっくぅぅぅ?!

ばっ

がっしゃあぁぁぁん、がしゃあ

一瞬身体が飛び上がり、勢いそのままに椅子の背もたれに体重をかけたせいで、あわや転倒しかけていた。あ、あっぶねぇな。倒れなくて良かった、スコープもな。とっさにスコープを抑えた右手を離す。カズは、目を見開き、俺を見ている?いや、焦点が定まってない感じだ、混乱してるな。悪かったよ。頭を掻きながら近づく。

「すまん、邪魔して。」

ようやく俺が戻ってきたのを認識したのか、瞬きを五回強して、ゆっくり背もたれから身体を起こす。一旦俺から目線を外した後、戻して、

「あぁ、お帰り。何で?」

文が少し変だな。まだ脳内処理は落ち着いてないらしい。まぁ、

「何で戻ってきた?」

と聞かれてるんだろう。理由は、これだ。鞄からさっきのコンビニで買わされた冷たいのを取り出して机に置く。

こん

硬い缶と机がぶつかる音が、カズの視線を惹きつけた。ちょっと小さめのスチール缶。やけに赤い柄が、蛍光色に照らされて目に届く。そして輝く、

『TOMATO』

の文字。

「?トマト、ジュース?」

「差し入れだ。」

自分なりに出来ることを模索した結果、コンビニで差し入れを買って届けるという選択を取った。悩んだが、夜遅くに炭水化物やお菓子は身体に悪い。甘い物も好みがあるかもしれん。好みと言えば、確実に分かるのがある、と思って、これ。

「私に?買ってきた?」

椅子に座り直しながら問いかけてくる。大分落ち着いたみたいだな。

「そうだよ。」

カズは手を伸ばし、机の上を手にする。

「ちべたっ。」

冷たさに驚いたのか、落っことしそうになる。俺も反射で手を差し出した。今度は両手でしっかりと抱える。差し出した自分の手をしれっと戻す。

「わざわざ夜遅いのに、ご苦労だねぇ。」

いつもの薄笑いを浮かべてくる。俺の気遣いに惚れたか?

「俺の分のついでだ。ジュースだと嫌いか?」

そう言ってもう一つ、紅茶のペットボトルを取り出す。わざとらしい言い訳もバッチリだ。

「いや、好きだよ。本当にありがとう。」

「ん、乾杯。」

照れを隠すため、手早く蓋を開けて紅茶を飲み込む。

こくん

う、美味い。お茶の爽やかさを保ちつつ、ほのかな甘さを感じさせる。久しぶりに飲んだが、こんなだったとは。堪らずもう一口。

「いただきます。」

かっ、しゅ

タブを開け、そっと口をつけ、顔を傾ける。あぁこの瞬間、カズの口の中に、ジュースがこく、こくと流れ込んでいる。興奮する。何言ってんだ。邪念を紅茶で流す。

「うん、美味しい。」

とろんとした目でそう言ってくれる。安心した。

「良かった。」

「うん。」

お互いに疲れが溜まっていたのだろう、しばらく無言で飲む。

「祭り、行こうな。」

すっと言葉が降りてきた。これを言うために、わざわざ差し入れを買ってまで戻ってきたように。カズはちょっと驚いた顔をした後、にかっと笑って、

「うん、モチベーションだよ。なんとかやってみせるさ。」

元気を振りまいてくれる。ありがたい。

ごっきゅっ

ぷはぁ

紅茶の残りを勢い良く流し込んで、完飲。さて、帰ろう。目的は果たした。これ以上居ても気恥ずかしいだけだ。

「じゃあ、今度こそ、お休み。」

「あぁ、ありがとうね。お休み。」

今度は俺が小屋を出るまで見送ってくれる。嬉しいね。

パタン

ドアを閉め、振り返らずに帰路をなぞる。

「これで良いだろ?

あぁ、良いさ。誰かへの答えになるように呟きながら、更けに更けた夜道を急いだ。


それからというもの、まぁ大変そうだった、カズが。前みたいにずっと無言で何時間もスコープとにらめっこ。たまに精魂果てたように項垂れたりしてる。無力な俺は着実に仕事を進めるしかなかった。たまに差し入れを持ってきてやったりはしたが、歯痒い思いをしていた。

「年に二、三回こんな修羅場が来るよ。今までは一人で全部やってからね。大分楽だよ。」

これで、か。マジで今までどうやってたんだよ。学校サボるのも、仕方無い、のかぁ?仕方無いのかぁ。俺にはとやかく言う権利も無いか。アキラさんと電話しても、

「まぁ、頑張れ。」

としか言ってくれなかった。役立ずでつらい。


二週間後、祭りを明日に控えるというギリギリの日に、

「でっっっきぃ、たっあぁぁぁ…。」

椅子にドカンと寄りかかって項垂れるカズ。思わず立ち上がって駆け寄る。

「出来たのか。」

そう声を掛けると、だるそうにこちらを見上げ、

「そう、でき、たよ。できたはず、だ。最後にもう一回チェックして、大丈夫だったら塗っておくれ。」

「分かった。」

「あぁ、もう、本当にもう、つっっっかれたあぁぁぁ…。」

「お、お疲れ。」

カズは椅子にもたれ掛かったまま動こうとしない。チェックはもうちょい後からかな。今は少し、休ませてやろう。自分の席に戻る。

それから五分後、再びスコープを覗き出した。それでまた五分後、

「うん、良いよ、もう良いよ、ここに入れておくから、お願い。」

カチン

ようやく台座からダイヤを外して、最寄りのケースに入れる。もう良い、ってのが引っ掛かるが、俺の知ったことではない。ハケを取り出し、小瓶を滑らせるように傾けて液体をちょびっとかけ、塗っていく。普段より一際大きいダイヤ、仕入の中で一番でかいサイズだ。肉眼でも何やら文字があるのが分かる。その文字を保護するため、表面をきれいに拭き取ってから、慎重に塗ってやる。

「大変だったな。」

このダイヤを見るとしみじみそう思える。

「うん、でも、後は明日、発送するだけだ。他の依頼もあるけれだ、ひとまず、後で良い。あ、あぁ〜。」

うぅ〜〜〜ん

カズは長い長い背伸びをした後、肩をぐりんぐりん回す。やっぱ揉んでやろうか?

「とにかく、行けるな。」

俺がそう言うと、

「そうとも、行ってみせるさ。」

声高にそう言う。テンションおかしいぞ。

「いつ行く?明日明後日明々後日の三日間あるが。」

「ふむ、そうだね…三日間全部というのは、かえって味気無いか。」

「絶対に無いな。」

あんなのに三日を費やす意味が無い。勉強してた方が五倍はマシ。

「明後日、土曜日にしないか?休みの日だし、時間も取れるし。明日だと学校もあって、夕方以降になるから。」

「うん、妥当だね。」

「それに夜になると、あの服ちゃんと見えなくなるしな。明るいうちに見ておきたい。」

「おぉ、そう言ってくれるかい。素晴らしいねぇ。そんなに期待されてるなら、ちゃんと着ていこうねぇ。」

忙しさから解放された反動もあるのだろう、どんどんカズの顔ご綻んで上機嫌になっていく。つられて、俺の顔も綻ぶ。ふふ。

「はぁ、じゃあ、土曜日の、昼過ぎくらい?」

「そうだな、暑そうだが。」

「多少は構わないさ。」

「そうかよ。」

ずっと張り詰めていた緊張が無くなり、お互いに減らず口が止まらない。今日はそれ以上仕事をせず、ずっと駄弁っていた。幸せだった。

その日の帰り道、俺の足取りも軽い。土曜日にあいつを連れ回せる。ショッピングモールの時みたいにはいかないぞ。今度は俺のホームだ。俺のペースで進行させてもらう。一応、どんな出し物があるか調べておこう。大したことないとは思うけど。出店、盆踊り、野菜の出張販売、誰か分からないゲストの登壇、花火…

ふと、気になる。良い加減、俺達は付き合ってるのでは?仕事を通じて、大分深い仲になった。パートナーと言っても過言ではない。支え合って生きている。形式が無いだけで、傍目から見ればとっくにそんな関係になっている。もし俺が誰かから告白されても、カズを理由に断るだろう。もし、の話だ。夜空を見上げる。曇り。星が見れずがっかり。虫の音は相変わらず。夏も後半になるが、蒸した空気もそのまま。だが夜風は気持ち良い。汗で身体に貼り付くシャツ、その隙間に吹き渡る快感。土の薫りも良き。

好きだ、カズが。恋愛的に。言い訳する気も起きない。顔が好きだ。黒髪、瞳、口元…全部が全部、魅せられる。性格が好きだ。誰に何と思われようと、自分に真っ直ぐでいられるところが。俺でさえ変、と思うところも、もはや愛しい。仕事に対する姿勢が好きだ。凛として一心にダイヤと向き合うその姿勢が。その姿があったから、俺も仕事を頑張れた。誰にも取られたくないと思う。言い寄るやつがいたらぶん殴る、必ず。

言った方が、良いのか?どうなんだ?正直、断られない気がする。九割の確率で成功しそうではある。だが、もし、もしも、今の関係が、崩れることになったら?この夏に積み上げてきたものを、全て失うことになったら?あの屋上の前に戻ってしまったら?その時俺は、どうなってしまう?今度こそ、お、わ、り?

目線を元に戻し、歩く速度を元に戻す。知らん分からんどうしようもない。なるようになる。雰囲気が良ければ告白しよう。特にそんな感じにならなきゃやめとけば良い。はぁ、実に全く、俺の人生、順調かどうか分からんな。

「難儀、難儀。」

自分の人生をそう言い表しつつ、駅の改札をくぐる。

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