君は私の彼氏なんだから! なんでも私のワガママ聞いてくれるでしょ!

神石水亞宮類

第1話 君は私の彼氏なんだから! なんでも私のワガママ聞いてくれるでしょ!




“君は私の彼氏なんだから! なんでも私のワガママ聞いてくれるでしょ!”



当時、付き合っていた彼氏に私はいつもそう言っていた。

彼は物凄く優しくて、殆ど私の言いなりだったから、こんなワガママを

平気で彼に言えていたんだと思う!

今は反省して、“今カレには一度も、私からワガママな事を言った事がない!”




・・・正直、私はこの言葉で元彼を追い詰めていたのだろう。

なんでも私の言う事を聞いてくれる元彼に、私は甘えていたわ!



『“私より先に家に急いで帰って!”』

『はぁ!? む、無理だよ、』

『今日のPM18時に、宅配便が来るの忘れてたのよ! お願い、急いで帰って!

バスか電車で帰れば間に合うんじゃないの?』

『“無理だよ! 時間通りに帰れなかったらどうするんだよ!”』

『勿論、出来るよね!』

『・・・そ、そんな無茶苦茶な、』

『急いで帰ったら? ギリギリ間に合うと思うわ!』

『む、無理だって、間に合わないよ、』

『置き配とかなって、誰かに持って行かれたら困るでしょ!』

『な、何を頼んだんだよ、』

『“言えない! でもお願い!”』

『ここから家まで、1時間以上かかるんだぞ!』

『じゃあ、大丈夫じゃん!』

『・・・そ、そんな、簡単に言うか、』

『本当にお願い! 急いで帰ったら、間に合うから!』

『・・・わ、分かったよ、出来るだけ頑張るけど、無理だったら

諦めろよ!』

『“ありがとう!”』

『・・・・・・』




・・・明らかに、彼は嫌がっているのに私は強引に私の言う事を彼に

させていたわ!

彼は優しいから、私に文句も言わないしね!

“だから、私は彼をいいように使っていたんだと思う。”

こんなに、私の言いなりになってくれるなら? 言いたい放題いった

方が得なんじゃないかって思うようになったの。



でもね? 彼はある日、突然! “私に別れ話をしてきたわ。”



『“もう限界だ! 別れてくれ!”』

『はぁ!? な、何を言ってるのよ、』

『訳の分からないワガママに、付き合ってられないよ!』

『・・・で、でも、いつも私がワガママ言っても、してくれたじゃない!』

『“本当は嫌なんだよ、それを無理矢理させてたのはキミだろう!”』

『・・・そ、そんな言い方しなくても、』

『“僕は普通の女の子がいいんだ!”』

『・・・ふ、普通って何よ?』

『少なくとも、僕にワガママ言わない優しい女の子だよ。』

『私と別れてどうするのよ、他に好きな女性でも居るの?』

『そんなの別に関係ないだろう! 僕が決める事だ!』

『イヤよ! 別れたくない!』

『勝手にすればいいよ、僕はもう別れるからな!』

『絶対に別れてあげないんだから!』

『“脅迫すんじゃねーよ!”』

『・・・きょ、脅迫って、』

『もう僕を自由にしろよ!』

『・・・そ、そんな風にずっと想ってたの?』

『勿論だ! こんなの奴隷じゃないか!』

『・・・わ、分かったわよ、別れてあげる。』

『当たり前だ! じゃあな。』

『・・・・・・』




元カレとは? ドロドロとした話し合いで別れる事になった。

私に完全にうんざりしていた彼を見て、私は別れる事を決意したわ!

“これは恋愛じゃない!”

もう彼の中で私の事を好きとかそういう感情で見ていなかったのだろう。

ただただ彼は私のワガママを聞いていただけ!

私は彼の事が本当に好きだったのにね。

だから彼と別れたくなかったし、最後まで駄々をこねたの!

でも、彼の耳には既に私の言葉は届いていなかったわ。

だから別れるしかないって決めたの!




・・・ただ今でも、“元彼の事をたまに思い出すわ!”

本当に素敵な彼だったなって、今カレと一緒に居ても想い出すなんて、

私、どうかしちゃってるんじゃないかって本気で想うほど!

なんだかんだと言って、私は元彼の事を本気で好きだったのかも

しれないわね!

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君は私の彼氏なんだから! なんでも私のワガママ聞いてくれるでしょ! 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

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