人形

人形

タイトル：人形

夜中の高速をすっ飛ばし、府道に降りて、

家に着くまでの道を延々走ってた。

「ふぅ。だいぶ遅くなっちまったなぁ」

1本トンネルを抜けて帰らねばならないので

そのトンネルを走っていたところ、

「うおわ！！？」キキィィイィィ！！ガシャン！！

トンネルの中に居た人をハネてしまった。

ガチャッとすぐ車を降り、前方に行って確認する俺。

ブレーキを踏んだが間に合わなかった。

「や、や、やってしまった…はぁぁ…」

恐怖におののきながら道に倒れている人のそばへ行くと、

「……え？人形…」

人の姿をしたマネキン人形がそこに寝ている。

「………なんで、なんでこんなトコに人形…？」

人をハネたわけじゃない

と言うのに心の底から安堵した上、

次の疑問が当然やってきて、

なんでこんなトンネルの中に人形が…？

と少し考え込んだ。

「人形を乗せたトラックから落ちたんかな？」

とも考えたが、さっき見たのはどう思い返しても

立ってる人形の姿。

トラックから落ちたんなら道に立ってるわけがない…？

そう考えた上、その疑問がどうにも解けなかった。

「見間違いか…？」

無理矢理そう思うことにし、

とりあえず自分がハネてしまった

その人形をトランクに入れた。

バラバラにはなってなかったが、

やっぱり自分がハネた人形という事もあったので、

さっきの「人をハネた？」と言う恐怖も手伝いながら

そこに放置しておくのはどうにも

落ち着かないと言う気持ちのもと、

トランクに入れたのだ。

そしてまた車に乗り、

今度はゆっくり安全運転で道を走って行く俺。

「…はぁぁ、ほんとに、人じゃなくてよかった、人形で…」

もし人をハネて居たら今こんな風に

落ち着いて運転できる自分は居なかった。

警察に捕まり、

生涯を棒に振ってたところだったんだ。

「本当によかった…」

そうして俺は家まで無事に帰ることができた。

でも翌日。

警察が俺の所へ来て俺は捕まった。

解説〜

・現実逃避

・罪の意識による現実での事後処理

動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=N4ZwM3T1-Qg