第3話

「·····なぁ·····、これは·····?」

プレゼントを貰ったことは初めてなため、声が上擦ってしまう。

·····確かに今日はバレンタインデーだが·····なんか違う気がする。

本来は女性が男性にチョコレートを送る日だ。

なのになぜ、天使は俺にチョコレートをくれたのだろうか·····?

そう疑問に思っていると、

「·····だって·····今日はバレンタインデーだろ·····?

人間達や妖精達が·····好きなやつにチョコレートをあげる習慣がこのバレンタインデーなんだろ·····?

Mアワたちやアポロンが言ってたし。」

という返事が返ってきた。

·····いやまあ、ある意味天使の見解は間違っていないのだが·····。というかなぜアポロンやMアワが出てくるんだ。

(なんか違う気がする·····というか男が男にチョコレートを渡す·····って、どうなのだろうか·····。

いや別に性の多様性を否定してるわけではないんだが·····)

なぜだか焦ってしまう。

「どうしたんだよ·····天気職人·····?」

焦っている俺に天使が声をかけてくる。

「いや·····別に」

俺はなんでもない風を装った。

「そっか」

天使は安心したようだった。

「じゃ、俺は仕事に戻るぞ。」

しばらくして、俺は空の様子と下界の様子を見に少し移動した。

「うん」

天使は隣りの雲に移動した。

天使からもらったチョコは少し前にひとつ食べた。

手作りのチョコは少し甘くておいしかった。

雲の上から太陽の光が差す。

それがまぶしくて、俺は自分たちがいる雲の上に別の雲を移動させた。

ゆっくりと雲は移動した。

それから数時間、俺はしっかりと天気を整えた。

天気を整えるのは、けっこう気をつかう。

一か所だけ天気が片寄ってしまっては人間と妖精たちが困ってしまうからだ。

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