空の妖精たちのバレンタイン

第1話

今日は2月14日。

天気は晴れ。

世の女性たちは賑やかになり、男性たちはそわそわする日。

ここは高さ数千メートルの空の上。

今日も変わらず雲に乗って熱心に空の天気を操る天気職人は、下界の情報を逃さない。

「今日は2月14日·····バレンタインデーだから·····晴れにしないとな·····そうしないと告白する子は可哀想だし·····」

黙々と仕事を進めていく。

そんな彼に声が掛かる。

「お〜い、天気職人〜」

「·····なんだよ」

仕事を一時中断し、声がした方を向く。

「·····お前か·····天使」

彼が来たことで、思わず顔が嫌悪に歪んでしまう。

·····やっぱ癖になってんな。

俺は、自分のそんなところに嫌気が差しつつもあいつを迎える。

そこには、雲の上を歩きながらこちらに向かってくる天使の姿があった。

「なんだよ〜、オレが来たからってそんな顔するなよ~

もう地上みたいな演技すんなって」

口を尖らせむくれる天使。

地上じゃかっこいいのになんでここだとちょっとチャラいんだよ·····

心の中で毒づきつつ

「悪かったな·····」

思わず焦ってしまう。

「本当か·····?」

あんまり信じてないような天使。

(本当なんだけどなぁ·····)

そんな会話をしている間に、天使はこっちの雲に歩いてきた。

手に何かを抱えている。

「天使、お前何を持っているんだ?」

気になって思わず声をかける。

「あーこれ? プレゼントだよ。いつも仕事頑張ってるから」

「·····Σ(゚д゚;)えっ?!」

(·····嘘だろ·····こいつ俺にプレゼントやるようなやつじゃないし·····何かあったんだろうか·····)

驚きと同時に嬉しさも込み上げてくる。…ちくしょうなんかくやしい。

「·····? おいどうした天気職人。顔が赤くなってるぞ?」

俺の気持ちも知らずに、天使が声をかけてくる。

「·····な、なんでもねえよ」

慌てて何もなかったフリをする。

「·····気持ちは嬉しいから、受け取っておくよ。

⋯⋯あ⋯⋯ありがとうな⋯⋯」

そっと天使からプレゼントを受け取る。

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