古城の鏡と失われた女王

@manten-happiness

アリス

古城の隅にある、埃をかぶった塔。メイドとして働く少女、アリスは、ある日、掃除中にその塔へ足を踏み入れた。薄暗い螺旋階段を上り詰めた先に現れたのは、一面の蜘蛛の巣に覆われた部屋だった。そして、その部屋の中央には、重厚な額縁に収められた不思議な鏡が置かれていた。


鏡には、美しい女性が映し出されていた。その女性は、どこか寂しげな瞳でアリスを見つめている。アリスは、この鏡に惹かれるものを感じ、指先でそっと触れた。すると、鏡が光り輝き、女性の顔がクローズアップされていく。


「私は、この城を築いた王国の女王、エリザベス。この鏡に、私の魂を閉じ込められたのだ。」


鏡の中から、エリザベスの声が響き渡る。彼女は、かつて邪悪な力によって王国が滅ぼされ、自らも封印されたことを告げた。そして、アリスにこう言った。


「アリスよ、あなたは特別な存在。この鏡の封印を解き、私を解放してほしい。そうすれば、私はあなたに力を与え、世界を救う手伝いをさせてくれるだろう。」


アリスは、エリザベスの言葉に迷いながらも、鏡に触れた。すると、鏡から温かい光が溢れ出し、アリスの体中に広がっていく。彼女は、今まで感じたことのない力を手に入れた。


しかし、その力には、大きな代償が伴っていた。アリスは、夜になると悪夢にうなされ、エリザベスの記憶がフラッシュバックのように襲ってくる。彼女は、次第に自分自身を見失っていくように感じていた。


ある夜、アリスは城の屋上に上がり、満天の星空を見上げた。無数の星が輝き、まるでエリザベスの瞳のようだった。アリスは、自分の使命に気づいた。彼女は、エリザベスとともに、この世界を再び平和な場所にしたい。


翌日、アリスは、エリザベスの力を借りて、邪悪な力を封印した。激しい戦いの末、アリスは勝利を掴んだが、その代償として、エリザベスの魂は消え去ってしまった。


静けさを取り戻した城。アリスは、一人ぼっちになったように感じた。しかし、彼女の心には、エリザベスとの約束があった。彼女は、エリザベスのために、そしてこの世界のために、これからも生きていこうと決意した。


それから数年後、アリスは、かつての王国を復興させた。人々は、アリスを救世主として崇め、彼女の治世は平和と繁栄をもたらした。アリスは、満天の星空を見上げながら、エリザベスとの約束を果たせたことに安堵し、幸福を感じた。


そして、アリスは、自分がこの世界で最も幸せな人間だと心から思った。

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