第28話
33歳から26歳への振り幅はなかなかのもんだ。あーやだやだ年はとりたくない。
「み。実来くん?!」
「里夏先輩、これって僕のですよね?」
「……え?」
「このふざけたお弁当、僕にくれたんですよね?」
ごめーん実来君。ちゃんと弁当にも“お”をつけるタイプの男だったんだね。最高かよ。私のような節操ない女が弁当弁当と不美化語使ってほんとすいません。
「ええと、そうだよ?」
「ああ、ですよね。」
なぜか実来君がせっせとお弁当の蓋を閉め、包みで丁寧に包んでいく。その縛った瞬間にキュッと引く指使いが綺麗だしえろいし。
と思っていたら、実来君の向こうに見える香椎が片眉を上げこちらを怪訝に見てくる。
鼻元に手をあて鼻をすすって誤魔化した。
「課長すみません、ということでこれは貰っていきますので。」
実来君がお弁当を手に取り、香椎に軽く頭を下げる。
へ?いるんだったの謝罪海苔文弁当。早く言ってよ超嬉しいじゃん。
「……豚肉のかんぴょう巻は?」
私が箸でつかんだままの豚肉かんぴょう巻を実来君に見せる。どんなシュールな図だとしても私は箸を掲げる。
「じゃあそれは俺がいただくわー。」
香椎があーん。と口を開けてくるから、行場のない豚肉かんぴょう巻は自然とそのお口に突入するわけで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます