第21話
「……で、粗品を持って僕に謝りに来たと。」
「はい。その節はご迷惑をおかけし申し訳ございません。今後一切私のプライベートに関わらないで下さい。」
「里夏先輩ってヤリマンでももう少し頭いいかと思ってました。」
「会社で名前呼びしないで下さい。」
「ヤリマンって節操ない上に斜め上をいくアホだったんですね。」
週開け。中古車部棟3階にある休憩室にて。
昔は整備士たちが時間外労働するための寝泊まりする場所で、監査の厳しくなった今の時代は休憩室として使われている。
といっても新車部棟にも社食と休憩室があり、たまたま今の時間この休憩室は私と実来君の2人だ。
私が実来君に渡した粗品。それはキャラ弁だった。いや、『ヤリ逃げしてごめんネ。』と海苔でかたどった海苔弁というのが自分的にしっくりストンとくる。
ハア。とおもむろに嫌な顔をする実来君は今日も美しく蒼碧の血管がえろい。率直に今すぐキスして欲しいし、舌をいれゴホッゴホッ。色欲アレルギーがひどい。
「……先輩、僕を馬鹿に」
「してません。」
「海苔がめちゃパリパリなんですけど」
「海苔だけ乾燥剤入りの違うタッパーに入れて、さっきご飯の上にちょんと乗せたから。」
「ちょっと、もっとちゃんとちょんと」
「ちょんときっとちゃんとカット」
「唐突にキットカット食べたい」
「奇遇ですね。私もです。」
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