第18話

てかなに、何で香椎はこのコアラの頭取とうどりを呼んだの?どういった策?



真ん中に座る香椎が肘をつき、目を細め私をニヤついた笑顔でこちらを見やる。

 


「どう?朋政、超いい男じゃね?」

「庶民居酒屋での場違いさが半端ないくらいいい男だね。私の好みじゃないけど。」



……朋政?



嫌な記憶が呼び起こされる。



朋政という名の時点でないな。私を芸能界から追いやったともいえる17歳の俳優こそ、同じ“朋政”って名前なんだから。



香椎が今度はコアラ頭取の方を見た。コアラの頭取はユーカリの葉……いやクリチつくねに添えられた大葉を食べている。つくね食べろ。

 


「どう?コイツ、俺の元カノの里夏っつーんだけど超いい女じゃね?」

「小学5年生の香山リカちゃんと同じくらいいい女だねえ。ただ香椎の中古って時点でないけど。」



どいつもこいつも中古中古うるせーな。



私は甘酒焼酎を一気に飲み干し、アルコール度数を胃腸で計る。焼けるような熱さにたまらず香椎を睨みつけた。まさかと思うけど、香椎、今日こいつと私をくっつけるために呼んだの?



「ねえ、ほんとやめてよ。香椎のダチとか欲してないし!」


「はあ?なに言ってんの。朋政扱える女なんてこの世にいねえよ。」

   

「じゃあなんで今日このボスコアラと私を呼んだの?」

  

「今コアラがオーストラリアの取引先に、日本の中古車大量に仕入れられるとこ探してくれって頼まれてるんだと。」


「……何台?」


「とりまざっと500台。」


「は、そんなに?!」



央海倉庫って確か輸送関係の会社だよね?央海倉庫を通して中古車をオーストラリアに輸出するってこと?500台も?



ただでさえ中古車の値段が上がってるのに。無理難題すぎる!

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