第13話

「俺らも最強にらぶすぎて周りからうざがられてたよなー?」


「……今はお互いにうざいだけなのに。」


「俺がどれだけお前の噂、綺麗に整えてやってると思ってんの。」


「さあ。」


「元AV女優だのヤリマンだのを、“身持ち固い純情乙女”だっつってな?整えましたーつって。」


「はいはい整えてくれてアリガトウございましたー。」    

 


香椎寿佐かしいかずさ33歳。



スーツのジャケットを脱ぎシャツを雑に折り曲げたコイツは何を隠そう私の元彼。ゆらつくグレーベージュのスパイラルパーマで毛先を遊ばせて。いかにも元遊び人、香椎寿佐にしっくりくる。



元彼といってももう大昔の話だ。私がまだ10代のモデル時代に1年ほど付き合ってただけの男だし。



みちると香椎は元々合コンで出会った友達で、モデル時代、みちるに紹介してもらったのがきっかけだった。



メディアの露出が増えたせいで忙しくなった私と、社会人の香椎との間にすれ違いが生じて自然消滅。



そんな香椎は驚くことにうちの新車部の課長、つまり実来心晴の直属の上司にあたる。



なぜ元彼とセフレのいる職場に私はのほほんと腰を据えているのか。こっちが聞きたい。

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