第6話

「いい加減僕の青春返して下さい。」


「それなら…青春できそうな女性と関係を持てばいいのでは?」


「例えば、秘書課の三谷さんとか?」


「いいですね。橋田部長と不倫してますけど。」  

  

「それならショールームの磯村さんとか?」


「素敵ですね。彼女全身矯正下着ですけど。」


「矯正下着って脱がすの大変そ。」



と、つぶやく実来君。彼は今、冷笑を浮かべつつ、粘度高めな音をこれでもかと響かせながら。あなたの核芯はとうの昔に見破ってますよ的な感じで突いてくる。



「ココきもち?」

「ン゙っ゙」

「ガチかよ」



狂ってる。



私の高校時代の黒歴史、つまり彼にとっての恨みを晴らすため、彼は私に狂ったゲームを強要している。



仕入れともなる中古車のネットオークション。狙った獲物を競り落とした方の勝ち。



実来君が勝てば、こうして私を好きにする権利があるらしー。私が勝てば、きっと臓器を売らせてくれるのだろう。



残念ながら私は今だ勝ったことがない……。6戦6敗。ああ凄い。6と6が並ぶと女の子の目に見える。



「ん、あッ、もうむり。いけない、から」

     

「自分の気が反れてるのが悪いんでしょう。」


「そらしてるんですっ」


「あと1回いったら解放しますよ、先輩」  

  

「馬鹿――――」 



野郎。とまで言えず、実来君に唇を塞がれる。唇を舐め、その入口を舌でこじ開けられて。



ふわりと実来君の香りが鼻をつく。柔軟剤の香りがする男って、女の臭いしかしない。柔軟剤のCMに出るのが夢だった叶恵でございます。

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