第5話

「あッ、やあ、ま、って……」 


「先輩、ちょっとしまり悪すぎ」


「ふ、ざけんな。んんぁ――――」 


 

はい大爆笑。



しまりが悪い私の中で、でかくしてる糞野郎は誰。



「僕に感謝して下さい。里夏先輩の黒歴史を正しく訂正したのは他でもないこの僕なんで。」


「た、たのんでないので。」


「“実来君、ありがとう”。」


「み、みらい君、粗チンすぎます……」  


  

彼が私の最奥に粗チンを響かせて、私は脳天を突かれたかのように息を詰まらせる。



「先輩ってなんで敬語なの?」


「敬語は純情乙女の必須アイテムなんで、」 


「その純情乙女が高校生ん時、純情少年を食った逸話は社内に広めてもいいと?」



私の本当の黒歴史を知る実来心晴は、夜のマグロを握るよりも、こうして私の弱みを握るのが上手い。



早い話、相当なギャルだった私が、当時は純情少年だった実来君をひっかけてその体裁を奪ったと。そういうことだ。



しかも当時実来君には彼女がいた。彼女に浮気をつきつけられた実来君は、彼女と揉めに揉めて別れてしまい。



それなのに私は、一度限りの関係だからと実来君を突き放した。

 


はい大爆笑。

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