第5話 晩御飯は老舗の親子丼
「ぅわぁ、美味しいね。」
美乃花も一緒に晩御飯食べることに。
「うん、うまいね。」
健太郎も同意。
「はい、京都の老舗旅館、曙屋さんのレシピです。」
おねえさんの頭の中には、
地球上のありとあらゆる分野の知識が詰め込まれている。
「へぇ、なんか、定番の親子丼の味付けと違うんだけど、
やさしい味なのにコクがある。」
「おねえさんは料理人さんなの?」
事情を知らない美乃花は質問する。
「いいえ、ただのしがない営業職です。
平行世界管理士1級を持っています。」
「へぇ、難しそうな資格、頭いいんですね。
キャリア組っていうのですか?」
単純に【士】が付く資格に憧れている大学生の美乃花。
「ただ、詰め込んだだけです。
それに、今となっては会社から放出されてしまいましたし。」
「えぇぇ、クビってことですかぁ?たいへんですね。」
「失業保険とかで、何とかなるもんですか?」
「そんなものありません。」
「えー!、ブラックだったんですね。
そんな所と縁が切れてよかったですね。」
「そんな簡単な話ではないんです。
私は、タイムマシンと四次元ポケットを取り上げられた状態なんです。
「そうなんですかぁ。そうなんですか?」
「ク、プッ、ク、ク、、、、。」
的を得ないチグハグな会話が可笑しくて仕方がない健太郎。
「なぁ、美乃花、お願いがあるんだけど。」
「なに。」
「ニャイさん、今夜泊まるところがないんだ。
うちに泊めてあげようと思ったんだが、
両親が勝手に旅行に行っちゃって。
さすがに、僕とおねえさん二人だけは、ちょっとなあ、と思って。
美乃花の家に泊めてあげるのは、まずいかなあ?」
「まずい!!
今日、弟が友達何人も連れてきてお泊まり会してるのよ。
それで、私も居場所がなくて、
DVD借りて部屋に篭ろうとしていたところ。
お風呂の順番もままならなくて。」
「そっか。」
「あっ、じゃあ私を健太郎のところに泊めて。」
「あーでも、ベッドも布団も足りないぞ。」
「夏だもん、タオルケットだけでもいいよ。
そうだ、昔したみたいに、お庭でキャンプしよう。
健太郎んち、大きなテントがあったじゃん。」
「そうか、それいいね。」
「わー楽しそう!私キャンプ初めてなんです。」
おねえさんは、目をキラキラさせていた。
「ねぇねぇ、晴子も呼んじゃおか?」
健太郎と美乃花と晴子は、保育園の時からの幼馴染。
小学生の頃は、お医者さんごっこもしたし、
一緒にお風呂も入っていた仲だ。
そして、おねえさんは、3人のお城の秘密の舞踏会も知っていた。
「晴子さんにもお会いしたいです。楽しみです。」
「まさか、晴子のことも聞いているの?」
「はい、健太郎様から確認しています。主観情報ですが。」
「わーーーーー!おねえさん、余計なことは言わないで。」
「健太郎、晴子も揃ったら、ちょっと話があるからね。」
こうして、長い夜が始まるのです。
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