第41話 メメ・オガタ
「では、本題に入らせてもらおう」
ヘラクは年季の入った、それでいて手入れはちゃんとされている机に肘をつき説明を始めた。
「これからお前たちには【
「
「そうだ、【
「ふむ……王からは姫の母親を探すように言われているのだが、それをこのようなギルドを介す必要が? 直接前金と成功報酬を渡せばよいのではないか?」
俺たちはロゼッタの母親を見つけて、王に日本へと帰る方法を教えてもらう。
それが目的。
なるべく最短でこなしたいから、冒険者ギルドとか余計な要素なくしたいよな。
シンプルに行きたいところだ。
「それが最初から出来ればわけないわな。けど、出来ないからこういったギルドがいるってわけよ。たとえば、普通の取引だって依頼主を冒険者が直接連絡を取ったらトラブル頻出さ。それが【王】と【冒険者でもなんでもないよそ者】の間でやってみ? 腐っても財源は税金だぞ? 下手したら王の立場が危うくなる」
筋肉の塊な見た目にそぐわず、どうやらヘラクはかなり聡明なようだ。
落ち着いた語り口もあってスッと話が入ってくる。
「そこで冒険者ギルドの出番ってわけか」
「そう、出番ってわけだ。治安維持、国家諜報なんかの名目で税金が突っ込まれてるからな。その一環ってことにすりゃ問題なく金を受け渡せる」
「なるほど、納得した。国王って言っても好き放題できるわけじゃないんだな」
「あぁ、それが組織ってもんだ」
「面倒くさいなぁ、俺は一生フリーでいいや」
「ところが残念、周りがほっとかねぇと思うぜ? お前みたいなのは」
「はぁ? んなわけないと思うが」
「ま、いいさ。今のうちにしっかり自由を謳歌しとくことだ。こう見えても人を見る目はあるつもりなのでな」
「ふぅん……」
息子を助けたからか、お世辞で俺を持ち上げてくるヘラク。
「そもそもさっき矢で殺されかけたんだけどな、その王から」
「ははは! そういうとこあるからな、あの方は!」
「え、笑うとこ?」
「絶対に死なないという自信があったのだろう。お前の力と、仲間がよっぽど信用されてると見た」
「仮に信用してたとしてもおかしいからね、矢で射るのは」
「まぁまぁ、それよりも」
それよりもじゃないんだが。
パンパンッ!
ヘラクがデカい手を叩くと、「はいはいはぁ~い!」という底抜けにクソ明るい、むしろ馬鹿っぽいと言ったほうが正しい声が響いて女の職員さんが現れた。
「メメ、この人たちの登録を頼む」
「登録! とっうっろっくっ~! わっかりましたぁ~ん☆」
職員さんの丸メガネがきら~んと光る。
「お姉さんがキミたちを万全完全に登録しちゃいますからね~~~~~♡」
「メメ・オガタ。派閥争いで唯一俺の側についてる奇特な女だ。ま、腕は間違いないから安心してくれ」
安心してくれって言われても。
むふふふと笑い、指をこねこねさせてるメメの姿には不安しか覚えない。
「それじゃあ、お姉さんに見せてねぇ~? キミたちのぜ~~~んぶを♡」
ぜ、ぜんぶ……?
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