第10話



 茅野先輩も、ダンボールからマンガを取り出し、パラパラとめくっている。


「先輩読んでたやつですか?」


「いや、これじゃない。下の方に埋もれてるやつかも」


「そう言えば、茅野くん、去年もよく図書室来てたねえ」


 授業を受け持っていない谷部先生が茅野先輩の名前を覚えてるってことは、先輩かなり図書室に入り浸っていたのでは……?


「それで、谷部ちゃん、なんで閉まってたの?」


「んー? あぁ、マンガが1冊ね、紛失してしまったんだよ」


「え、なくなったんですか?」


「そうなんだよ。一応学校の備品だからね。結局返ってこなかったし、またなくなったら困るなぁと言うわけで、今年度は閉まっておいたんだ」


 そんな理由があったのなら、出さなくなったのにも納得がいく。


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