第3話



 出会ったきっかけは、確か夏休みにちょっとした問題があって、それを助けてくれたのが始まり。


 まさかあの時は、同じ学校の生徒だとは露ほども思わなかったけど。




「花ちゃん、何読んでんの?」


 近くの机から椅子を引っ張ってきて、カウンター前に陣取る先輩。


 他の人の迷惑……と思うも、今この図書室には私たち以外の生徒はいない。

 何も問題はなかった。


 私は手に持っていた本をタイトルが見えるように先輩に見せた。


「それ、おもしろい?」


「んー……まだ分からないです。読み始めたばかりなので」


「どんなジャンル?」


「えっと、ファンタジー……ですかね?」


「なんで疑問形なの」


「だって、まだ読み始めたばかりですもん……」


「そっかそっか」


 そう言って、楽しそうに笑う先輩を見ていると、自然とこちらも楽しい気持ちになる。


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