かた重い

かすみん。

かた重い

中一の時、同じクラスになった彼は、めちゃくちゃモテ男だった。

クラスの女子20人足らずの半数以上が彼を好きだと噂になっていた。

そんなモテ男は、モテてることを知っているのか、知らないのか、いや、きっと薄々は気づいていたと思うけど、そのことを鼻にかけたりする人じゃあ、なかった。

いつも、仲良い友人とノートの切れっ端で、ビンゴゲームしたり、お昼休みにはサッカーで、グラウンドを駆け回っていた。

勉強はそこそこ、できる方だったし、何より、彼の書く文字は、超!がつくほどの美文字だった。ここ、私にとっては、重要部分!尊敬にも値していたかもしれない。

部活は野球部。どこのポジションなのか、忘れてしまったけど。

ユニフォームがめっちゃ似合っていてかっこよかった。運動部を選んでるくらいだから、スポーツもそこそこ、できる方だった、と記憶している。

そうそう、そんなモテ男に、私も恋をしていた。

中二、中三になるとクラスは、別になり、時たま廊下ですれ違う彼を横目にチラリと見ながら、ただ会えた、と言うそれだけで、小躍りしながら友人に報告していたものだ。

あの頃の、そう、中学生の頃の私は、どうかしていた。

好き、と思ったら、好きと言わずにはいられない性格。

アピールしないではいられない性格。

それが‥‥本人の意図してないところで、なぜか、私がそのモテ男のことを好きだと言うことが、周りに、と言うか、多分、学年中に広まっていた。

なんで?と、今更ながらに、不思議に思うのだが、まぁ、それは置いといて。

前述のように、私は、とにかく、彼に好き!と言いたくて仕方なかった。

彼に、何かを求めたわけじゃない。何しろ、付き合う、とか、彼氏になって欲しいとか、そんな要望めいたことが、私の中には、何にもなかったのだ。

ただ、知っていて欲しかった。

私はあなたが大好きです、と。


だけど、本人の私が伝える前に、もう、モテ男は、知ってしまった。


ある時から、モテ男は、私のことを執拗に避けるようになった。

廊下ですれ違う時も、あからさまに、私を避けるように、端っこを速やかに通り過ぎていく。

これ、今思えば、いじめじゃん!

私は、私の想いは、完全に拒否られたのだった。

嗚呼片想い。

かた、重い。

私の想いは、モテ男には、重すぎたのね。


重い恋は

もうしない!

恋はもっと

軽くて弾んでいいんだ。



そして。

振られるのなら、

パチンと弾けるような、

そんな恋がしたい。


そ。

中学生で、こう学んだ私は、

高校生から、軽くてふわふわの恋を満喫したのだった。



お相手は。

もちろん、モテ男ですけど。


嗚呼、永遠の片想い。片重い。


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