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「舞ちゃん・・・・。」

「今言うのは違うのも分かってるの。でも、裕太とあの時久しぶりに会って、分かったの。やっぱり私裕太の事」

「駄目やで。」

とめどなく溢れる言葉を、裕太の力強い声が制した。

裕太の顔を見ると、真剣な眼差しで私を見つめていた。


「舞ちゃんにはちゃんと素敵な旦那さんが居るんや。だから、冗談でもこんな事言っちゃあかんよ。」

「冗談で言うわけない!」

私は裕太の胸に飛び込んだ。

「何回も裕太に自分の気持ち伝えようとしたの。でも、裕太の夢の邪魔になると思って。違う幸せを探して、今は必死に夫に嫌われないように取り繕う毎日過ごして・・・・・。」


こんなに自分の気持ちを零しているのは初めてだった。

なんだろう。自分の感情がとめどなく溢れてくる。


「私、もう分からないの。自分の幸せが、分からないの。」

「・・・・。」

裕太の手がゆっくり私の肩を掴み、ゆっくり裕太から離した。

拒絶されたのだと思うと、自然と涙が零れた。

「こんなに泣いて。可愛い顔が勿体ないで。」

「裕太、ダメ・・・だよね?」

ふと我に帰り、自分のやってる事の愚かさに気付き、笑いかけた。

「自分でも何言ってるのか分からなくなってきた。ごめんね。こんな事言うの、おかしいよね。」

「そんな事ないで。そう言われて俺も嬉しかったし。」

そう言って裕太は私の頭を優しく撫でた。

「舞ちゃんは頑張り屋さんやから、きっと旦那さんにもそれは伝わってると思う。自分を大切にしてくれてる人を裏切る事しちゃ駄目や。」

「・・・そうだよね。ごめん。」



「今日、楽しかった。」

「・・・・・俺も、楽しかった。」

小さく手を振ると、裕太は何とも言えない笑みを浮かべ手を振った。


「・・・・ごめんな、舞ちゃん。」

立ち去る時に、小さくそう呟く裕太の声が聞こえたような気がした。








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