第3話:ウェルカム・トゥ・マイ・ホームの巻。

「指輪はニューベルンリングって言ってニューベルング族のが作ったものなの」

「この指輪一個でいろんな魔法が使えちゃうんだよ」


「魔法?君・・・魔法なんか使えるの?」


「私たち、遠いご先祖様の時代に魔法と科学を組み合わせることに成功したの」

「だから指輪があれば魔法は使えるんだよ」


「なるほど〜便利な指輪だね・・・ひとつ欲しいな」

「ベル・・・君、星に帰ったら一個送ってよあとで住所教えるから・・・」


「指輪はノルニル人しか使えないよ」


「え?使えないんだ」


「そもそも、あなた魔法使えないでしょ?」


「まあね・・・で、そのノルニル?たらって星からどうやって来たの?」


「UFOとかに乗って来たって思うでしょうけど、私はスペースカプセルって

のに乗って来たの」

「本格的SFじゃないんだから細かいことはいいじゃない?」

「ときかく降りたところが、あなたのお家の庭だっただけ」

「ご迷惑なら出ていくけど?・・・」


「いやいやご迷惑とか思ってなくて・・・」

「で?地球へやって来た目的は、さっき言った広い宇宙から逃げてこの地球にいる

ワルワルい異星人を見つけて宇宙にあるヴァルハラってところに収監するために

満を持してやって来たの?」


「すごい、ちゃんと人の言ったこと聞いてるぅ」


「記憶力は悪くはないけど・・・」


「ま、よくある異星人の侵略とかならきっと僕はその魔法の指輪で消されてるね」

「ほら、ビームかなんかで溶かされたりして・・・」


「想像力豊か・・・二級映画か悪いマンガの影響ね」


「ところであなたのお名前は?・・・なんて言うの、お世話になる人のお名前

くらい知っておかないとね」


「お世話って?・・・え?もう決まってるの?」


「あ、僕「等々力 渉とどろき わたる」って言います」


「わたる?・・・ワタルちゃんね、よろしくワタル」


「うん、よろしくね、ベル・・・」

「僕んちの庭で知り合ったのも、なにかの縁だし・・・これってファースト

コンタクトって言うんだよね」

「ETとか未知との遭遇みたいに・・・貴重な経験だよね」


「あの・・・私、来たばかりで右も左も分かんないんだけど、ワタル手取り

足取りいろいろ教えてくれる?」


「手取り足取り?・・・もちろん任せてよ、ウェルカム・トゥ・マイ・ホームだよ」

「こんな貴重な経験、断ったりなんかしたら一生後悔するって」

「僕んちにいていいからね?」 

「よその家は訪ねて行かないように・・・いいね」


な、いいところで母ちゃんが横から割り込んできた。


「渉・・・この子、うちでお預かりするつもり?」

「て言うことは、この子異星人さんでもご飯食べるわよね」


「なに?なにが言いたいいんだよ」


「ご飯食べる人がひとり増えると家計に響くんだけど・・・」

「母子家庭だから・・・」


「そんなセコいこと言うなよ、僕だって働いてるだろ?」

「心配しなくても彼女の食費くらい俺が出すよ」

                              

「そう、じゃいいわ・・・大歓迎よ、え〜と・・・なにちゃん?」


「ベルヌヒルデです、お母さん」


いいも悪いもなくベルは、そのまま僕んちを拠点に暮らすことになった。


で、そんなことしてたもんだから、僕は完全に派出所に遅刻してること

をきっちり忘れてた。


とぅ〜び〜こんて乳。



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