⑭【瑞雲・四章】登場人物一覧(その他)

※年齢は四章開始後、最初の正月を迎えた時点での数字になります。

 四章終了までの内容を含みますのでネタバレにはご注意下さい。


【沓前国】

才田弘兼さいたひろかね(30)

 代田盆地の国人領主で、盆地の北の端に位置する領地は平地に乏しいが山葵を特産としている。

 代田家の寄り子衆で、彌尖国との国境を守る返坂砦を預かっている。以前は閑職である立場に不満が有った様だが、祥治達三人に因り、飯富村との付き合いが出来て以降は雑穀が売れたり、付届けが届いたりと悪くないと感じ始めている様子。

・木嶋安弘(38)

 才田家家臣。弘兼の右腕的な人物で人柄も朗らか。祥治達が返坂峠を越えた時に最初に接した人物と言う縁も有り、以降友誼を結んでいる。


扇屋慶三郎おおぎやけいざぶろう(44)

 曽杜湊の大店穀物商、扇屋当主。祥治達兄弟が曽杜湊の広田道場に滞在していた頃に護衛の仕事を請け負った縁が有る。

 その後、飯富村の酒の卸先として祥治に選ばれると、その価値を利用して商売を一段大きくしようと画策している。


鷺沼清房さぎぬまきよふさ(28)

 広田道場門弟。剣より口が立ち、稽古より酒が好きな人物ながら、その人柄で道場の緩衝役として欠かせない人物。

 沓前国の弱小国人であり、以前は城で役目な就いていたが、現在は船役人の任に就いている。


【彌尖国】

[彌尖大社]

御崎洋門みさきのひろかど(48)

 彌尖大社大宮司。北敷からの船に乗り祥治に援助を求めて飯富村を訪れた。

 その後の交渉で、祥治に御崎の名と、護領御大将の地位を授け、彌尖国の奪還に立ち上がる事になる。

 かつての大社の栄華を辛うじて知る世代でも有り、神領が次々と侵略されて行くのを見ている事しか出来なかった事を悔いている。

御崎漣みさきのさざなみ(14)

 大宮司の末娘。上の兄弟は既に亡く、大社に住まう人々の悲哀を一身に受けて育って来た為に、自らが何とかせねばと気負う一面が強い。一方で外を知らぬ為に視野が狭い。

 大宮司は早く婿をと思っているが、候補の祥治はその気が無く相性も悪く、治親(宗太郎)は新婚と中々決まらない。


[早瀬盆地]

(早瀬庄)

海東史暢かいとうふみのぶ(26)

 佐高家重臣、海東家の次男で、早瀬盆地の佐高家支配の旗頭。

 かなりの圧政に敷いており、盆地の治安悪化も省みない為に土着の領主達からの評価は非常に低い。

 が、圧政は遠濱南部の前線を維持する為に行われている面も強く、驕りは強いものの必ずしも暗愚では無い。


金窪益徳かなくぼますのり(22)

 元の早瀬庄領主であり、早瀬郡の神郡長の家柄である金窪家の当主。

 海東家からはその立場を徹底的に貶めるべく、村八分状態に置かれていた。

 飯富坂の戦いで戦列から逃亡した後に祥治に拾われて、飯富村へ合流する。

 父の耐え忍ぶ姿を見て育った環境故か、家柄に対する思いや、権力に対する執着を持たない。

 一方で地道な畑仕事等が好きな様子で、飯富村でもすぐに周りの人間の信頼を得ている他、口の効けない四太とも意思疎通が図れたりしている。

・金窪与四郎(15)

・金窪小夏(18)

 

(馬下庄)

畠中憲定はたなかのりさだ

 元は遠濱国で海東家の寄子の家柄であり、その縁で佐高家に因って早瀬盆地の入口である馬下庄を抑える為に派遣された。

 飯富坂の戦いでは寄親の海東史暢から攻勢の失敗を叱責されるが……


(平林庄)

・平林佳孝(43)

 当主。梶原党の一件から飯富村の調査を早瀬の海東家から押し付けられた事がきっかけで飯富村との付き合いが始まる。

 現状は消極的かつ秘密裏な協力に留まっている。

・平林澄孝(25)

 平林家嫡男。

・平林康孝(22)

 平林家次男。

・平林実孝(享年17)

 平林家三男。梶原党に兵として取られ、飯富村で戦死する。


(深緒庄)

深緒貞照ふかおさだてる(39)

 深緒家当主。平林佳孝の叔母を母に持つ関係から、飯富村との協力関係に声を掛けられるも、平林よりも早瀬庄に近い立地もありやや及び腰。


(水間庄)

水間仁周みずまひとちか(24)

 水間家当主。早瀬盆地では若いが切れ者として名が通っている一方、一匹狼な気性も知られている。


(小広庄)

小広純治こひろすみはる(48)

 小広家当主。朴訥だが、一本筋の通った性格の男として他の領主達からの信頼も厚い。


(坂井庄)

坂井容寛さかいかたひろ(35)

 坂井家当主。坂井家は元は他国から移り住んだ武士だったとされるが、大社の信用を得て領主に据えられたと言う。

 本人はそんな家柄を大変誇りに思っているらしい。


[北敷海岸]

(切端村)

・切端波左衛門(34)

 切端村領主であり、射浪いなみ郡の神郡長。波左衛門は代々の当主の名乗りで本名は滋和しげかず

 祥治の申し出を受け入れ、飯富村との交易を始めた後、船の建造や交易品の助言も受けた事もあり祥治の配下に入る事を決める。

・切端由和(22)

 切端家分家の出で、波左衛門の妻の弟。

 新富村開拓の纏め役として派遣される。

・五作(56)

 切端村の船大工の棟梁。本人は半隠居だったが、祥治の新船建造に伴い現役に復帰。以降、見知らぬ技術を齎す祥治に入れ込んでいる。


(流澤村)

・流澤滋吉(30)

 流澤家の嫡男。切端波左衛門の実弟だが、跡継ぎの居ない流澤家へ養子として入った。

 北敷五村の領主層では最も祥治に友好的な人物で、武芸に優れる。

・流澤春吉(54)

 流澤家当主。後継ぎが無く、滋吉を養子に迎え嫡男として育て上げた。

 そろそろ立場を譲りたいのだが、滋吉は飯富村や曽杜湊と外へ出たい欲求が強く実現していない。


(田之濱村)

・田之濱安継(37)

 田之濱家前領主。

 若くして跡取りに恵まれた為に、嫡男に当主の座を譲って飯富村や曽杜湊を飛び回っているが、それは村の者達に知識や技術を持ち帰る為らしい。

 外からやって来太祥治に思う所も有るが、見かけによらず、それはそれと割り切れる柔軟さも持つ。

 船の扱いに長け、その腕は北敷でも一二を争うと目されている。


(一之津村)

・一之津兼広(27)

 一之津家領主。

 口数が少なく物静かだが何でも器用に熟すも、他の者程目立つ所が無い点を本人は歯痒く思っている。


(朱崎村)

・朱崎清介(19)

 朱崎家嫡男。

 祥治に反発心を覚えるも、曽杜湊等外の世界を見る事で考えが変わって来た。

 一方で感情が抑えきれない性格で、大社へ勝手に船を出した。

 その結果、謹慎を申し渡されるが、本人は納得していない様子。

・朱崎達介(40)

 朱崎家当主。

 祥治達の事を余り快くは思っていないが、暮らし向きが上向いている事は認めている。

 息子の清介が感情を制御出来ない事を不安視している。


【遠濱国】

・佐高遠濱守

 佐高家当主。遠濱国一国を領し、南部で東朝勢力と長年戦いを繰り広げているが劣勢が続いている。佐高家はそれを挽回する為に彌尖国へ侵攻した経緯が有る。


横柴昭連よこしばあきつら(37)

 咲山横柴家当主。

 横柴家はかつて幕府で管領を務める程の家柄だったが、内訌や政争の結果各地へ没落した過去を持つ。

 その内の一つが佐高家が保護している咲山横柴家で、咲山に館を構える事から咲山御所とも呼ばれる。

 武家としての体裁の為に所領を求め、佐高家から飯富村を宛てがわれたが、統治に失敗した過去が有り、その挽回の為に分家の昌連を派遣する。

横柴昌連よこしばまさつら(25)

 咲山横柴家の分家の男。本家からの命に因り、飯富村へ領主として派遣される事になるが、結果として飯富坂の戦いに発展し、敗れる事になる。

 元来より、血筋にしがみつく横柴の家に疑問を感じており、高貴なる者の為すべき事とはと考えていた側面が有る。その一面は戦の中で花開いて行くが、万端の用意で待ち構えた相手に敗退する事となる。


隈取滋浩殿くまどりしげひろ

 佐高家北部宿老。

實山浩成さねやまひろなり (20)

 遠濱国北部大身国人、實山家当主。

 幼くして父を亡くし、先代当主の祖父に次代の当主として育てられた。父を亡くした戦で家中は甚大な被害を被っており、当面の軍役を免除されている。

 横柴昌連の飯富村派遣の介添えとして飯富村を訪れ、その後の飯富坂の戦いにも軍監兼相談役の様な立場で同行する。

 横柴昌連二ついて、当初は落第と見ていたが、戦の中で成長を遂げる姿に考えを変えつつある。

 祖父に飯富村の話をしてしまったが故に……

實山愁厳斎さねやましゅうおんさい(56)

 實山家前当主。飯富村参照。


海東暢且かいとうのぶかつ(41)

 遠濱国南部大身国人、海東家当主。早瀬盆地の海東家の本家に当たる。

 長年南部戦線を支えて来たが負担が大きく、それを軽減する為に早瀬を分家に与えられている。

 戦禍に直接晒されない中北部の国人に対して不満も有る様子。

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