第25話
日本人離れしたそのミステリアスな顔立ちが、他人を寄せつけない雰囲気を放っているのかもしれない。
そんな沙良となぜ一緒にいるようになったのかは忘れたが、お互いクラスで浮いた存在だったのは確かだ。
結依のせいでやっかみの対象だったあたしと、人との関わりを拒んできた沙良。
沙良はあたしが他の女子と違って騒がしくないから一緒にいると言うが、もし理由をつけるとするならあたしもたぶん同じ理由だ。
沙良は結依の容姿に靡かない。
『沙良ってほんと結依のこと嫌いだよね。』
「あんな男がなぜモテるのか教えてもらいたいくらいだわ。」
沙良はツンと鼻を尖らせる。
上品な顔に似合わず、豪快にパンにかぶりつく姿は男気があって素敵だ。
あたしが『そうだね。』って言ってウーロン茶を飲むと、隣にいる沙良からは白い目で見られた。
『なに?』
「他人事みたいに言うけど、美羽に言ってるのよ?」
『あたし?』
「そう。幼なじみの躾くらいちゃんとしときなさいよ。」
『それあたしの役目?』
「あたりまえでしょ?さっきも女とイチャついてるところを見かけて吐くかと思ったんだから。」
『それ彼女だと思うけど…』
「公共の場でイチャつくなって言ってるの。家でやれ。」
沙良は鼻息を荒くして言う。
普段は口数の少ない沙良も、結依が絡むとせっかくのクールビューティーも台無しだった。
唇は容赦ない悪態を生み、大きくて黒目がちな瞳は感情をあらわにすることで迫力を増す。
しかし、そんなことあたしに言われたって困る。あたしは幼馴染であって、結依の見張り役として存在しているわけじゃないのだ。
幼なじみってそこまで面倒みなきゃなんないんだっけ?と、道理に合わない疑問をやり過ごすようにパンへかぶりつく。
すると、
「吐くって酷くない?」
高揚の無い声が聞こえたかと思えば、そこには今しがた会話の中心にいた結依が立っていた。
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