第13話
『誰のせいだと思ってんの…』
「俺?」
相変わらず他人事のように笑っている結依を、あたしは不満を露わにして睨む。
結依は不満の対象とされていることにさえ気づかないと言った様子で、スラックスのポケットに手を突っ込んでいた。
『絶対結依のほうが女の子扱いされてるよね?』
「あー…、ガキの頃誘拐されかけたからじゃない?」
『そこからして間違ってるんだよ。』
「心配しなくても美羽だってちゃんと女の子だよ。」
『そういう意味じゃないよ。』
「分かってるよ。」
そう言って、フッと微笑んだ結依はおもむろに腰を折った。
次に何をされるのか、なんて明白で、結依の醸しだす雰囲気に呑まれたあたしは大人しく目を瞑る。
けど触れたのは唇じゃなかった。
手の甲に押し当てられた柔らかさに『やっぱりな…』と冷静に判断し、結依が離れていくのと同時に目を開けた。
「美羽が男だったらこんなことしてないし。」
結依はあたしの唇を親指でなぞりながら言う。
触れてもない唇はなぜか湿っていて、結依の赤い舌が妖しげに欲を誘っていた。
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