第16話

「嫉妬に決まってるでしょ」


「え…?」




思わず顔を上げると、呆れを孕んだ双眸と目が合った。




「実花が告られるのを分かっててわざわざ告白されに行ったりするから妬いたの。さっきからそう言ってるのに何で通じないの」


「妬いたって、飛鳥が…?久本君に…?」


「そうだよ」


「なんで…」


「なんで?まだそんなこと言ってんの?ほんとどうなってんの、実花の頭ん中」


「だ、だって!そんなこと一度も…っ」


「結構伝えてたつもりなんだけどなぁ」


「う、嘘だ…」


「嘘じゃない」


「だって、飛鳥は…」


「なんで“妬く”か?そんなの実花が好きなこと以外に何があんの」




握られた手に強い力が宿った。


真摯な声に弾かれたように顔を上げれば、握られた手と同じくらい強い意志を秘めた瞳があたしを見ている。


あたしはポカンとしたまま飛鳥を見つめ、気がつけば驚きのまま言葉を零していた。

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