第7話
自分で言うのも何だが、告白を決意するまで幾度となく葛藤があったはずだ。そうじゃなかったら、あんなふうに緊張した面持ちで気持ちを告げたりしない。なるべく円満に終わらせたかったあたしにとって、飛鳥の現れは迷惑でしかなかった。
踏みにじるような終わらせ方はしたくない。あたしの心配をよそに彼は肩を竦めて「そうだな」と息を吐いた。
意外にも穏やかだった声にあたしのほうが驚かされた。
「話は終わったからもう行くよ。倉持もいきなり呼び出したりして悪かったな」
「久本君…」
「これからも普通に接してもらえると助かる」
「あ…、うんっ」
言うと、クラスメイトこと久本君は階段の手すりに手をかけた。一段、二段、三段と、何事も無かったかのように階段を下りていく。
「いいの?」
ちょうど半分ほど下りたとき、小さくなっていく背中に声をかけたのは飛鳥だった。いつの間にかあたしの隣に立っており、スラックスのポケットに手を入れた飛鳥は飄々とした態度で久本君を見下ろす。久本君は足を止めてあたしたちを見上げた。
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