第4話
「え、違うのか?」
「違う…!付き合ってないし…!」
「付き合ってねぇの?帰りとか一緒に帰ってんのに?」
「ないよ…!そ、それに、一緒に帰ってるのはあいつが勝手についてくるだけで付き合ってるとか全然…っ!」
「ふぅん」
「ほんとだから…!」
思いのほか荒ぶってしまった声がまた動揺を誘った。
さっきまでの緊張感はどこへいってしまったのか、クラスメイトは見込みがないと分かった途端に不躾な眼差しを向けてくる。
否定を返しながらも、何を必死になっているのか自分でも分からなかった。否定をするなら一言“違う”って言えば済むことだ。
…それなのに、どうして。形容しがたい思考に唇を噛めば、クラスメイトの目線がふ、と逸れるのが分かった。
一瞬の出来事に勘違いかと思って首を捻れば、ふわりと浮かされるような――…後ろに引っぱられるかのような重力に身体が傾いた。
「――…え」
「く、倉持!?」
何が起こったのか分からないまま、クラスメイトの大きく見開かれた双眸に呆けた自分が映る。
今、あたしたちが立ってる場所は階段がある踊り場だ。
引っぱられた勢いでバランスを崩したあたしは本来であれば階段の下に真っ逆さまなのだが、しかし、その衝撃はいつまで待っても訪れることはなかった。
「酷いなぁ。付き合ってるつもりでいたのに」
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