第3話

「あ、えっと…」




さて、どうしたものか。


告白されたからといって浮かれる趣味も無ければ、伝えてくれた気持ちを軽々しく扱う趣味もない。慎重に声をかければ、クラスメイトは弾かれたように顔を上げた。


しかし、あたしを映した瞳は一瞬で陰りを見せる。言葉は無くとも答えを見つけてしまったのか、小さく息を呑むのが分かった。


…悪りぃ、と、彼の唇が微かに震える。




「倉持、彼氏いるもんな…」


「はっ!?彼氏!?」


「いるだろ?彼氏。飛鳥と付き合ってんだろ?」


「な…っ」



思いがけず目を剥いた。



「なんで…!?」


「なんでって…」




勝手に彼氏がいるとされていたことに驚いたわけじゃない。彼の口から飛び出した名前に驚いたのだ。


彼は何驚いてんだ?的な表情であたしを見やる。


いやいや、一体何を言い出すのか。あたしの心臓は告白された時よりも分かりやすく動揺を露呈した。


クラスメイトもその動揺を見逃さない。

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