第15話

講習を終えて外に出れば、むわっとした熱気に嫌でも眉が寄った。


冷房で冷やされた肌は一瞬にして熱を蓄え、ビルを覆う青天からはジリジリと焦がすような日射しが弱まることなく降り注いでいる。




「あっつー…」




額から吹きだす汗を手の甲で拭い、遠くのアスファルトを揺らす蜃気楼に眩暈さえ覚える。


まさに昼食の時間、何気なしに窓から見た光景が目の前に広がっている。なぜあのときグッタリした表情で行き交う人々を他人事のように見下ろしていたのか、涼しげな顔をしていた自分に今さらながらムカついた。



もしかしたら今、暑さに疲れ果てた自分を見ず知らずの他人が見下ろしているかもしれない。


そう思ったら帰ることさえ億劫になってくる。


なーんて、外に居続けたら本気で黒焦げになっちゃいそうだけど。




「帰ろ…」




こんなバカげたことを考えてしまうのもきっと暑さのせいだろう。


そんな自分に虚しさを覚えたあたしはさっさと帰路へ就こうと、重たい一歩を踏み出した。

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