第15話
講習を終えて外に出れば、むわっとした熱気に嫌でも眉が寄った。
冷房で冷やされた肌は一瞬にして熱を蓄え、ビルを覆う青天からはジリジリと焦がすような日射しが弱まることなく降り注いでいる。
「あっつー…」
額から吹きだす汗を手の甲で拭い、遠くのアスファルトを揺らす蜃気楼に眩暈さえ覚える。
まさに昼食の時間、何気なしに窓から見た光景が目の前に広がっている。なぜあのときグッタリした表情で行き交う人々を他人事のように見下ろしていたのか、涼しげな顔をしていた自分に今さらながらムカついた。
もしかしたら今、暑さに疲れ果てた自分を見ず知らずの他人が見下ろしているかもしれない。
そう思ったら帰ることさえ億劫になってくる。
なーんて、外に居続けたら本気で黒焦げになっちゃいそうだけど。
「帰ろ…」
こんなバカげたことを考えてしまうのもきっと暑さのせいだろう。
そんな自分に虚しさを覚えたあたしはさっさと帰路へ就こうと、重たい一歩を踏み出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます