第6話

「……、」




うん。


確かに無用心だった自覚はある。


田舎では鍵をかける習慣なんてなかったし、何より街外れのボロアパートに泥棒へ入ろうなんて奴の気が知れなかったからだ。



いや、でも、それにしたって…




「勝手に上がり込んで来たのはどっちよ…!」




気が抜けたせいか足に力が入らない。


その場へ崩れ落ちるように座り込んだあたしは完全に閉まったドアをキッと睨んだ。


まるで疾風のごとく去っていった"漆黒"に、しばらくの間、呆気に取られてしまったのは言うまでもない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る