第2話
7月28日(晴)
「暑っつー…」
3年前から書き続けている日記の冒頭は、ここ最近めっきりマンネリ化しつつある。
あたしは腐れかけた木の窓枠にヒジをつき、金魚の描かれた風鈴を故意に揺らした。
風鈴は軽快な鈴の音を響かせるが、当然涼しくはない。
木造建ての築何十年にもなるアパートにエアコンなんてものはなく、夏は実家から持ってきた扇風機で騙し騙しの涼を取っている。
それも今年で3年目。
田舎から都会の高校へ進学したあたしは高校一年生の頃からずっと一人暮らしを続けているのだか、通勤ラッシュや人が歩く速度には慣れても、この猛暑だけはどうしても慣れることが出来なかった。
車の排気ガスやアスファルトに反射する熱気が、田舎育ちのあたしには果てしなく合わなかったらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます