日記と隣人

第1話

7月25日(晴)




アスファルトをジリジリと焦がすような太陽の下。まだ涼しいとされる午前中でさえ、気温はすでに30度を超えている。


夏休みを迎えて、それぞれが思い思いの予定に胸を弾ませる中、あたしの予定は塾の夏期講習でビッチリと埋まっていた。


不公平でもそれが受験生としての宿命らしい。



あたし――…


朝比奈夕輝(あさひなゆうき)も例外ではない。


やりかけの問題集もそのままに四畳半ほどの畳に寝そべったあたしは、早朝からけたたましいコーラスを奏でるセミに眉根を寄せる。


頬を撫でるのは色褪せた畳のひんやりとした感触。ごく稀に、窓辺にぶら下げた風鈴の音が本格的な夏の訪れを感じさせた。

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