第17話

「…俺の片想いだって知ってて言ってるでしょ」


「さぁ?どうかな」


「小春さんマジ意地悪…」




渋った松木君をクスクスと笑う。


そこへちょうどチューインガムを持ったお客さんがやって来て、彼はバックルームへと引っ込んだ。


そして投げ置かれたガムのバーコードを読み取り、マニュアル通りの接客をする。税込99円のガム。金額を告げる前に、カウンターの上には百円玉が転がる。




「1円のお返しです」




1円のお釣りとレシートを渡そうとすると、客は1円玉だけを受け取り、レシートはカウンターの上にそっと返された。


それも無言で、だ。

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