第19話
「遅かったな」
そこから一人の男性が顔を出す。
ガチャリとノブが回った音に背筋を伸ばしたのも一瞬、一体どんな人が現れるのかと思えば、大学生の兄とそう変わらないくらいの若い男性だった。
「もう来ないのかと思って寝るとこだったんだけど」
「これでも始発の電車には乗ったんだよ」
男性はさらに大きくドアを開けた。そして訪問を許可するかのように、自身の身体を壁際に寄せる。
「お邪魔します」
兄が玄関へ足を踏み入れると、ここでようやく男性の目があたしの姿を捉えた。
他人を前にしても涼しげなままの双眸は何を考えているのか分からず、無意識に身体を強張らせてしまう。
「どうぞ」
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