第14話
飛び乗った始発電車に日常の面影はなかった。
時刻はまだ5時半だ。昼間はたくさんの人たちでにぎわう駅もガランと寂れ、チカチカと切れかけた蛍光灯が人気のない駅構内を殺風景に照らしている。
ホームまで下りればポツポツと人の姿はあるものの、みんな昨夜の疲れを引きつれ目を閉じている。きっと終電を逃した末に一夜を過ごし、始発を求めてやって来たのだろう。
中には仕事帰りのサラリーマンやホストらしき若者たちの姿も見受けられ、普段目にすることのない光景につい目を向けてしまう。何事もなく日常を送っていれば、見られなかった光景だ。
しばらく地平線の向こうを眺めていると、仄暗かった空がやがて白々とした明るみに包まれていった。
一定のリズムで電車が揺れる。6時を過ぎると少しずつ乗客の出入りも進み、見慣れた日常へと戻っていく。それでも静けさが勝る車内は、朝のラッシュにはほど遠かった。
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